愛してるに変わるまでは

□まひろって…
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「まひろって、料理上手だよな?」

「ずっと作ってたから…」

「まひろって、さみしがり屋だよな」

「そうですか?…あんまり自分では」

「まひろって、時々俺を一人占めしたがるよな?」

「…し、してないです」

「してるよ。で、俺が言いたいのは、なんでこんだけまひろのことわかってるのに、まだ拒むわけ?」

ソファーの上に座る私の後ろから、奏さんはさっきからしっかり私を抱きしめて離さない。

耳元でわけのわからないこじつけを囁く奏さんの手は、ある予感を感じてぎゅっと手を握る私の手を包み込む。

「そろそろ抱きたいんだけど?」

「え、あの…っ」

「いい?」

くるりと体を回されて、うなずくとか抵抗するとか、どんなリアクションも取れないまま私の体は宙に浮く。

「今日は泊まっていけよ?っていうか、帰さねぇし」

「あのっ、奏さ…っ」

ぎゅっと奏さんの首に抱きつく私の体は、あっけなく引き離されて、柔らかなベッドに下ろされていた。

「たぶん、手加減しないから」

ネクタイを外し、ワイシャツのボタンを一つだけ外したままの姿だった奏さんは、もう一つボタンを外す。

綺麗な鎖骨に見惚れてる余裕はなくて、私はぎゅっと胸元を握りしめた。

奏さんがいやだとかそういうのではないけど、やっぱりこういう時は緊張する。

「まひろって、なんにもわかってねぇよな」

ワイシャツを脱ぎ捨てた奏さんの指は、私の頬を何度か優しく撫でると、そのままあごのラインをなぞりながら首筋へ落ちていく。

「あ、…か、奏さんっ」

「なんにも聞こえないけど?」

「…う、そっ」
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