あしたの恋
□あしたの恋 最終章
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「ごめん、日菜詩ちゃん。そろそろ行こうか」
着替えを済ませ、バスルームを出ると、日菜詩ちゃんはパーテーションの前に座り込み、アクリル板に貼り付けられた四つ葉のクローバーを眺めていた。
「気に入った?」
彼女の側に片膝をつく。
「うん。お兄さんやお姉さん…、たくさんの愛に溢れてるね」
「……まあ、そうかな」
そんな風に考えたこともない。正直、自分が集めたものがこんな形になっていることで、日菜詩ちゃんには気分を害されるんじゃないかなんて考えてたぐらいだ。
「なんだか…嬉しくて」
彼女が胸の前で手を合わせるから、そのまま薄いベージュのブラウスの胸元に視線がいく。今日の日菜詩ちゃんはやけに魅力的だ。いつもより大人びてみえる。
ミニ丈のベージュスカートから伸びる細い脚から目をそらし、視線を上げていくと、彼女は可愛らしい唇を薄く開き、俺を見上げている。
誘われてるんじゃないかなんて錯覚したくなるような仕草だ。こんなに可愛らしい色気のある子だっただろうか。
「あの、明日嘉くん……、ありがとう」
日菜詩ちゃんはほんのり頬を染めて礼を言う。