あしたの恋

□あしたの恋 第2章
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図書館の片隅。カーテンの閉まる窓際の席に座り、明日嘉くんのいない隣の席を見つめる。

明日嘉くんに会いに意気込んで来たのに、彼の姿がなくてしょう然としてしまったけれど、窓の下に彼の鞄があるから、来ているのだとわかってこうして待っている。

目の前には一冊の小説。先週購入した推理小説だ。明日嘉くんと一緒にいる時しか読まないからなかなか進まない。

半分も読み終えていない小説の、しおりが挟まれたページを開く。その時、背後に人の気配を感じ、同時に声がかけられた。

「日傘ちゃん、来てたんだ?」

「あ、…明日嘉くん、おはよう」

「ひまそうだね」

明日嘉くんは苦笑いしながら図書館の本をデスクに置き、カーテンを半分開く。

明るい日差しは彼の席を照らす。斜めに入る日の光は私のところまでは届かない。

「珍しいね、窓開けてないなんて」

「エアコンつけてるのに窓を開けっ放しにするのはやめてくれって言われた」

「今日は暑いから余計だね。暗くない?」

「別に気にならないよ」

いつも窓を開け、開放感のある空間で勉強している明日嘉くんにとって、薄暗さを感じる場所は勉強しにくいのではないか、と問うが、彼はいつものように素っ気なくそう答える。

「もう半分、カーテン開ける?」

そう言って腰を浮かせると、彼は私を制した。

「いいよ。日傘ちゃんが日焼けする」

「………あ、…ありがとう」

「礼を言われるようなことじゃないから」

明日嘉くんはデスクに向かって言い、私など興味なさげに本を開く。
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