あしたの恋
□あしたの恋 第2章
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「明日嘉くん」
「まだ何かある?」
「約束」
「は?」
「約束したでしょ」
勉強に打ち込みたい彼は迷惑そうに眉をひそめる。私は慌てて小説を開き、しおりと一緒に挟まれているそれを取り出した。
「四つ葉のクローバー。二本見つけたの」
「………あ、そう」
「明日は学校休みだし、もっと探せると思うから、また持ってくるね」
二本のクローバーをデスクの上に乗せる。彼はしばらくそれをジッと眺めていたが、「ありがとう…」とつぶやくとクローバーをノートにはさんだ。
「なかなか見つからないね。千本は無理かもしれないけど、私頑張るから」
「無理だと思うならやめたらいいよ」
「やめないよ。だってほんの少しでも明日嘉くんがゼミに来てくれる可能性があるなら頑張らなきゃ」
「……日傘ちゃんも、俺にかまってないでちゃんと勉強した方がいいよ。氷澤先生のゼミは難しいことで有名だから」
「じゃあ、ここで勉強してもいい?」
「勉強するのは勝手だけどさ、俺が言いたいのは、クローバー探してる時間がもったいないって話で…」
「もったいなくなんてないよ。だって、勉強と同じぐらい大事なことだから」
そう言ったら、また明日嘉くんを好きだなんて告白したような気がして、頬が赤らんで行くのを感じた。