夕焼けの向こう側

□11
1ページ/3ページ


生まれて初めて見た、綺麗な銀色の髪。


――ジャーファルさん――!?


何で、何でここに。


がちゃがちゃっ


首を覆う邪魔な木の囲いを外そうと暴れる。
しかしそれは頑丈なようで、首筋にはしったちりっとした痛みに血が出たことが分かった。

しかしそれも直ぐに塞がってしまう。


私の傍に居た男が慌てたように叫んだ。


「おいおい、何なんだお前は!?見たところ余所者じゃねえか?
これはうちの村の大事な祭りだ!口を出すんじゃねえよ、引っ込んでろ!」

「・・・女性を散々虐げた挙句殺すのが祭りですか?」

「!?ひぃっ!!」


いつの間にかジャーファルさんは男の目の前にいた。

ジャーファルさんからぴりぴりとした空気を感じる。


これが殺気、というものなのだろうか。


男が腰を抜かして後ずさると「大丈夫ですか?」と首の木の囲いを外してくれた。


「首が赤くなっています。冷やさないといけませんね」


行きましょうか、と手を引いたジャーファルさんに、私は動かない。


「オリシア?どうしました?」

『・・・・・・』


ああ、喋られないのがもどかしい。
・・・なんて、少し前にも思ったっけ。

まぁ、私がそう思うのはジャーファルさんだけなのだけれど。



小さく微笑むとやんわりと手を離す。


「・・・・・・オリシア・・・?」


目を見開き、私の名前を呼ぶ。
でも私は、答えちゃ駄目なんです。


ふるふると首を横に振り、静かにこちらを見ていた村人を眺める。



――私が死ななければ、この人たちが不幸になってしまう。



過去の忌み子も殺された。だからこの人たちは安心して生きてこられた。

私が死ななかったら、この人たちはどうなってしまうのか。


自分ひとりが生き延びて村人全員を不幸にするなんて、私はしたくない。


――今までありがとうございました。


礼をして、高いところに備え付けられていた刃を外す。


「オリシア・・・何をしているんですか・・・?」


手に収まりきらなない刃を持つと、


























「やめなさいオリシア!!」
























勢いよく自分の首に突き刺した。


 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ