夕焼けの向こう側
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「オリシア?」
『・・・・・・!』
そこまで考えた時に、はっと意識を取り戻す。
眼前にはジャーファルさんの整った顔。
慌てて後ずさるとジャーファルさんが「あ、すみません」と謝る。
恐らく今の私の顔は真っ赤だろう。
「しかし、大丈夫ですか?何か考え込んでいたようですが・・・」
そんな問いにふるふると首を横に降ると顔を無理矢理笑顔にする。
私は今、ちゃんと笑えているだろうか。
『(そんなことよりも、夜が明けてしまいます)』
僅かに扉を開け空を見せると徐々に空が明るみ始めている。
「もうそんな時間ですか・・・」
ぽつりと呟くとジャーファルさんは腰をあげて扉へ向かう。
その後ろ姿を見つめていると、不意にジャーファルさんが立ち止まり、振り返った。
「・・・・・・」
『・・・?』
彼は何かを話そうとしているのか、言葉を発するのを迷ってるようだった。
首を傾げながらも言葉を待っていると
「・・・いえ、すみません。なんでもありません。
それでは、また今度。さようなら、オリシア」
結局何も言わずに明るみ始めた闇へ姿を消した。
ジャーファルさんが何を言おうとしたのかが気になったけれど、それを知る術を私は持っていない。
早々に諦めると私は扉をそっと閉めた。