君が居た。
□36
1ページ/2ページ
翌日。バルバットに大きなニュースが流れた。
アリババがバルバット国第三王子ということだ。人々は胸に希望を宿し、会談が行われている王宮に駆けつけた。
――一方私は
『人参と豚肉と・・・』
街へ買い物に行っていた。
◆ ◇ ◆ ◇
『あ、おじさん、この玉葱頂戴』
「いいよ!!25煌だよ」
『はい』
「まいどありー」
この国では普通に煌が使われている。かなり煌帝国が介入しているんだね・・・。嬉しいような、ちょっとフクザツ。
その場を後にし、荷物をアリババのアジトに置くと、近くの丘に登った。
『今日の会談・・・成功しないだろうなぁー・・・』
現状に満足している人が現状を変えようとなんて思うわけが無い。
アラジンとモルジアナは王宮前に行ってるし・・・シンドバットさんはアリババに付き添って王宮内に居るし・・・マスルールさんとジャーファルさんはどっかいっちゃったし・・・。ぶっちゃけ暇です。
『・・・街散歩しますか・・・』
◆ ◇ ◆ ◇
『あ!!』
「あ?」
思わぬ人と、再会。
『カシム!!』
「・・・うわぁ」
『うわぁって何。』
◆ ◇ ◆ ◇
『驚いた、実質霧の団を仕切っている君が街の中を堂々歩いているなんて』
「どうしようが俺の勝手だろ」
『・・・』
冷たい。一緒に買い物に付き合ってくれているのには感謝するけどさ、
『もうちょっと愛想良くできないの?』
「何で俺が愛想良くしないと駄目なんだよ」
『だってカシム悪い人に見えないもん』
そう言うと「は?」と言われた。
『ジャーファルさん・・・あ、銀色の髪の人ね?あの人の武器が私を斬ったとき、カシムはバツが悪そうにしてたでしょ?
本当に悪い人はあそこで俯いたりしないよ』
「・・・カシムって呼ぶんじゃねぇ」
ふいっと違うほうを向く。
『・・・まぁ、気になるところが無いわけじゃないんだけど』
「はぁ?」
『いや・・・』
カシムを覆っているのは黒ルフ。つまり彼は堕転している。
――ジュダルと同じ様に。
『あ、もうすっかり暗いねぇ』
「お前のせいで時間が潰れた」
『どーもすいませんでしたー』
「ちゃんと謝れよ」
『やだ』
『あ、今日は買い物付き合ってくれてありがとね!』
「・・・・・・。お前、その・・・手ぇ大丈夫か?」
『・・・、うん!!全然痛くないよ、気にしないでー』
じゃあね、と別れる。
・・・さて、あと少し買い物してからアジトに戻ろう。