君が居た。

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どしゃぶりの雨。つまり、憂鬱になる気分。







まだ朝だと言うのに大雨。あまりにも暇すぎて今日の分の仕事がすべて終わってしまった。



そんな時の、来客。




コンコン



「楓、いるぅー?」


『?はい、どうぞ』




突然の来客に首を傾げるも応答すると、ギィ、と扉が開いた。



そこに居たのは――否、おられたのは





『紅覇様!?』


「うん」




何故か煌帝国第三王子、練紅覇様が。



面識が無いわけではないが、すれ違い際に挨拶をする程度だ。

一瞬のフリーズから立ち直る。




『どうされましたか?仰って下されば参りましたのに』


立ち上がろうとすると、


良いよ座ったままでー


とのお言葉が。

勿体無きお言葉です。




「入るよー」


『はい』



















『今日はどうされたのですか?』


お茶をお出ししながら尋ねる。


「んー、ちょっとお前に探してもらいたい物があってねぇ」


『探し物・・・ですか?』


「うん。
ちょっと前に炎兄に貰った手鏡なんだけど」


『いつ失くされたのですか?』

「忘れた」


『場所に心当たりは?』

「無いしぃ」




『・・・・・・』



非常に困った。


いつ失くしたか分からないとどこまで深く探すかが変わるし、心当たりがないと下手すると国内――いや、国外も探さないといけないかも・・・・・・うわぁ。



「あ、国外っていうか城外は心配しなくて良いよ。出さないしぃ」


『あ、顔に出てました?
しかし、そうなると禁城内でしょうか・・・』




今から探して参りますが、出て行かれるときは部屋をそのままにして下さって結構ですので。



そう言うと「頑張ってね〜」という声を背に受けながら部屋をでる。













・・・さて、このただでさえ広い禁城を、どこから探そうか。

 
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