我が弟の忠犬君は、
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ポロン ポロン …
軽やかに奏でられる旋律に、少女は目を開けた。
( ピアノ…? )
重い身体を引きずり起こし、草むらから少し、顔を覗かせる。
( 綺麗… )
親子だろうか、母親らしき女性が少女と同じ位の歳の男の子とピアノを楽しそうに弾いている。
( ママン、かぁ… )
殺戮に明け暮れる日々を送る少女にとって母親とは懐かしい存在であり、
( 会いたいな… )
背後に人影がある事に気付かず、少女は意識を手放した。
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『…随分と懐かしい夢を見たな』
咲希樹は目を覚ました。暫く眠っていたらしい。
飛行機は既に着いたらしく、他の乗客は次々と降りている。
カキ、コキ、と首を左右に折ると骨が鳴った。
少し乱れた髪を結び直して彼女も飛行機を降りる。
『10年ぶりの、日本だ…!!』
久々の母国に期待を膨らませ、彼女は口元に弧を描いた。