Free and Sword

□No.01
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「ミナト、卒論進んでる?」
ケータイに一通メールが入っていた。
大学の友達からだった。

現在大学4年の私は就活を終え、卒業論文のためにカナンに訪れていた。
中学から私立女子校に通っていた私は大学くらいは自分の好きなことをしたくて
留学し、海外で卒論を書き終わろうとしていた。

「今から現地を調査しにいく!良いのが書けそうだよ」
そう友達からのメールを返し、私は目的の場所へと向かおうとしていた。

私がテーマに選んだカナンの地は別名【約束の地】とも呼ばれており、
古くからとある宗教で有名な地でもあった。
その宗教の中でも代表的な描写として描かれる大きな木が今でも生えていると言うことで、
私はその木を見に行こうとしているのだ。


現地のガイドの人と共に訪れた木。
大きく強い木だった。

その迫力に圧倒され、私は自分の目的を忘れる所だった。


「これが…約束の木……」
宗教的にも広く布教されているだけあってその偉大さを感じるような木だった。
ここで昔は人々が集まり、公演があったそうだ。

「この木は触っても平気ですか?」
ガイドの人に尋ねると、良いとの事だったので、私はその木に近づいた。


刹那、激しい頭痛と目眩がして、私はその場に倒れこんだ。
ガイドの女性が私に近づき何かを言っているが、
それさえも理解できないくらいに激しい頭痛が私を襲っていた。

倒れこんだ私の視界に女性と木から微かに見える太陽の光が入った。
次の瞬間、私の脳の中に沢山の記憶が流れ込んできた――


知らない記憶――
だが、心を締め付けるような悲しい記憶だった


ミナト様ッッ!!!
行ってはいけませんッ!!ミナト様―――!!!!!


誰かが私を呼ぶ声とともに私は意識を失くした。




 
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