はじまりはじまり

□お題より
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「いいいぃッ!名無しさん!もっと優しく…」
「もう、男でしょう」
「でもぉ…っぎゃあ!」
「ぷ、アシュトンうるさい」
「……名無しさん、何か楽しそうだね」

背中に当てた薬草を交換するたびに、一人騒がしいアシュトン。

剣の稽古にと出かけて早々に帰ってきたかと思ったら、アシュトンが突然家の中で倒れ込んでしまったのだ。

「あ……、!」

アシュトンの背中はただ真っ赤に染まっていた。何があったのかも分からないまま、とにかく急いで応急処置を施した。

アシュトンが目を覚ましたのは、本当についさっき。



「この薬草に感謝しなきゃ。たった半日でここまで良くなったのよ?だからガマン」
「分かったよー…いてて」

包帯を巻き終えた背中を見つめる。ひ弱な中身とは思えない、とても逞しい男の体。
小さな傷がいくつかあるけど、今回のはダントツで大きい。

「アシュトンて強いんだか弱いんだか」
「近くに子供がいたんだ。その子を助けるには、僕が盾になるしかないと思ってさ」
「…ふぅん」

遊んでいた子供と、森から下りてきたモンスターと、稽古をしていたアシュトン。
こんなにも偶然が重なることがあるんだね。
でも、何だか切ない…。


「ああもぅ、」
アシュトンの大きな背中に頬を寄せた。痛くしないように、そっと。

「…良かった」


元気になった彼を見て、ようやく肩の力が抜けたような気がした。
アシュトンは振り返って、そのまま私を抱きしめる。

あったかい。大好きな温もり。


「名無しさん、ありがとう」
「あんまり私の寿命を縮めないでね」
「大丈夫。名無しさんは長生きするさ。僕がついてるから」
「余計縮んじゃうかも」
「ええ!やめてくれよぉ、どうしよう」
「大丈夫。それでも離れないから」














(明日もこうして側にいて)
あなたと過ごせる今日に、感謝






あれ?ギョロとウルルンは?(…)
tochi

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