はじまりはじまり

□お題より
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「あれ、アシュトン?」

大きな木の幹に寄りかかるアシュトンを見つけた。近づいてみると、すやすやと気持ちよさそうに居眠りしている。
ここの所モンスター退治ばかりだったから、疲れてたのかな。私はそのまま静かに隣へと座る。

「無理してない?」
「たまには息抜きしなきゃ」
「そうだ、今度アシュトンの好きなハンバーグ作ってあげる」
「実はね、みんなああ見えてあなたに期待してるのよ…」

「zzz………」
「…って、一人で何話してるんだろ」

普段ならアシュトンの方が話して、私は聞いてる事が多い。
話してる時の彼の顔を見るのが好きで、気がつけば最後は二人で笑い合ってる。
そんな日々が、愛しくて楽しい。

「アシュトンはいつも、私の欲しい言葉をくれるよね」

私には恥ずかしくて言えない事も、アシュトンは声にする。周りに誰がいようと関係ない、といった時もしばしば。
何度逃げ出そうとしたことか…。

でも結局いつも逃げられず仕舞い。


「…アシュトン」

今まであまり言葉で伝えた事はないけれど、私もあなたに負けないくらい大好きなんだよ?
知ってた?

「……なんて言えないなあー」
「…ぷぷ」
「?」


小さな笑い声が聞こえた気がして、思わずアシュトンを見る。すると彼の口元が僅かに緩んでいた。

うわあ、やられた!狸寝入り!

「ア、アアシュトン!いつから」
「名無しさんが来た時からずっと」
「ええ!何で黙ってたの」
「だって、名無しさんがいっぱい話しかけてくれるなんてあんまり無いからつい嬉しくて」
「ズルい、バカアシュトン」
「ごめんごめん」

アシュトンは笑いながら私の熱くなった頬に手を当てる。
恥ずかしさを隠すように、私もその上から手を重ねた。

「ねえ名無しさん、言って」
「え?」
「さっき言おうとしてただろう。言って?」
「あれは、後で」
「いーま」
「ううう…」

さっき頭の中では伝えた言葉。やっぱりアシュトンには、声に出さなきゃダメみたい。








(溺愛ラバーズ)
すでにお互い溺れてます





素直すぎるアシュトン
tochi

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