はじまりはじまり

□お題より
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「…ねえ名無しさん」
「さっきは悪かった!謝るよ」
「だから、ね?機嫌直して?」
「もう二度としないって約束するよ、ねえ名無しさんー」




……あちゃー、またやらかした。怒りんぼの名無しさんちゃん。ちょっとしたことですーぐむくれる、僕の愛しい人。

僕に背を向けて、座ったまま動かない。さっきの謝罪の返事もない。名無しさんはいつもこう。僕を困らせるのが大好きなんだよね。


(でも困るのは結局名無しさんの方)



「名無しさんー」

振り向いてくれないからそのまま抱きつく。首に顔を埋めても、名無しさんはびくともしない。今日は中々難しそう。


「アシュトン離して」
「嫌です」
「あっちいってよ」
「嫌です」
「勝手に何処でも行けば良いでしょ?」

名無しさんの声が震えてる。こりゃ相当怒ってるなあ…。



「ごめんなさい。もう二度としないよ。だから許して?名無しさん」
「………」
「名無しさん」

抱きついた腕に少しずつだけ力をこめた。彼女の頬と自分のとをそっと合わせる。沈黙が続いた。




その時。
「………むう…」

きた!彼女の最後の悪足掻き。許してる、けど素直に言えない名無しさんの拗ねた声。これが何とも可愛い。


「ありがとう名無しさん」

僕はこみ上げる愛しさから首もと、頬、耳たぶに何度もキスを落とす。くすぐったそうに体をよじる仕草もすべて、愛しい。名無しさんの口元はすでに笑っていた。


「もうやめて、アシュトン」
「嫌だね。可愛いんだもん名無しさん」
「くすぐったいよ」
「知ってる」


君の癖や仕草や考えてること。
何が好きで何を愛し、何が嫌いで何を悲しむか。

僕は知ってる。だって、







(愛しちゃってますから。)
120%の君をね




(アシュトン初にして糖度100)
tochi

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