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【 契約の勧め 】
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強い雨が降る此処。
何処かも分からない。
もしかしたら、右も左も分からない所かもしれない。
そう思うと、何処かゾクゾクと恐怖が入り混じって、体がおかしい。

身体中の傷に当たる雨が、痛い…。

そんな事を思いながら座り込んだ。
服が汚れる。
そんな事は気にしない。

見るからに、人通りの少ないこの道を…
誰が通る。







『やっぱ悪魔は悪魔だ。碌な事ない』


と、急に手に違和感を感じ見ると……



 契約の勧め 

そこまで大きくない、少し分厚い本。

表紙を捲る。



ページを捲る。



次。





れ ん あ い き ん し が じ ょ う け ん だ よ ー ☆
じ ゃ 、 そ っ ち で が ん ば っ て ね ー ☆


何だろう、何処かカチンと来たのは気のせいだろうか。





『はぁ……』



深く溜め息を吐くと、黒い影が前を立ちふさがる。


『っ!??』


吃驚して勢いよく顔をあげる。

「うっわ、吃驚したぁ。……あの、大丈夫ッスか……?」
『…………あ、うん。大丈夫、ありがとう』

笑ってみせると、相手は目を見開き「よかった」と笑ってくれた。
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