INFINITE妄想小説一覧
□君にチョコレート【ミョンジョン】
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_2月14日
今日はバレンタインデー
ソンジョン「ヒョン―っっ!!」
俺が部屋から出てきた瞬間、リビングの方からバタバタとこちらへ向かう足音。
ミョンス「ソンジョン・・・?どうしたんだ、そんなに急いで・・・」
まだ眠そうにあくびをしているミョンスに対し、ソンジョンはまんべんの笑みを浮かべて、何やらピンクの箱を手渡す。
ミョンス「・・・・・・・?」
何も分かっていない様子のミョンスを見て、ソンジョンは少しムッとしながら答えた。
ソンジョン「・・・もう!今日はバレンタインデーでしょ!!だから・・・」
そう言って、ソンジョンは手に抱えているピンクの箱をミョンスに無理やり押し付ける。
ソンジョン「ヒョンのために頑張って作ったんだよ」
えっへんと、胸を張って自慢げに喋るソンジョンの手にはいくつもの傷がついていた。
ミョンス「・・・・ありがとう」
ふっと優しく微笑みながら、ミョンスは箱を受け取る。
お返しにと頭を撫でてやると、嬉しそうにソンジョンは照れた。
・・・・・ところで一体箱の中には何が入っているのだろうか。
バレンタインなど元々興味がなかったミョンスは、何も知らずに手元の箱をガサガサとあける。
ミョンス「・・・・・・・こ・・っ・・これは・・・?」
ソンジョン「え?見ての通りチョコだけど」
「チョコ」という言葉を聞いた瞬間、ミョンスの頬には一筋の冷や汗が流れた。
別に見た目が悪いとかそういう訳ではない。
むしろ、かなりのクオリティだと思う。
だが、何よりの問題点は・・・・。
俺は甘いものが食えないということ。
特にチョコというものは大の苦手だ。
甘すぎて、一口食っただけでも死にそうになる。
しかし、ソンジョンの傷だらけの手を見ると実はチョコが食べられないなんて、言えるはずもなく・・・・。
ソンジョン「ほーら、ヒョン!食べてみてよ」
キラキラした目で俺を見つめるソンジョン。
まさかこんなことになろうとは・・・・・。
ミョンス「・・・・あ・・・あぁ・・・。後で・・食うよ・・」
なんとかこれでごまかそうとしたが、ソンジョンは全く聞く耳を持たない。
ソンジョン「早くーっ」
ソンジョンがチョコを持ってだだをこねる。
いや、だがチョコレートだけは・・・・・・・
ミョンス「・・・え・・と・・・・今?」
ソンジョン「今!!」
どうにかして逃れようと、色々と試してみるが、全くの無意味。
もう逃げられまいとミョンスは覚悟を決め、チョコレートをひと粒、口に含む。
ソンジョン「・・・・・・どう・・・かな?」
ソンジョンが目を潤ませながら心配そうに聞いてくる。
こんな顔をされては余計にチョコが苦手だなんて言えない。
それにしても甘すぎる・・・・
今すぐに口の中のものを出してしまいたい。
でも目の前にはソンジョンの今にも泣きそうな不安な顔。
決してまずいわけではないけど・・・・。
ミョンス「お・・・おう!・・・う・・うまいぞ」
そう無理に笑顔を作り、安心させようとソンジョンの頭を撫でる。