君は笑いながら言った。人生なんて不公平なものだと。

□キッド
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かれこれ数分。

キッドは跨る様にあたしの体を押さえつけ、顔の両側についた手はご丁寧にあたしの手首を掴んでいる。

キリリと締め付けられた手首は文字通りシーツに縫いつけられたように動かず。


(いい加減、痛い)


キッドの赤い鋭い両眼は、反らされる事なくあたしの目を捉えて離さない。
体を動かす事も出来ず、お互い見つめ合ったままで。


(睨み合うって言った方が)


正しいのかもしれないと心の中で自嘲気味に思わず笑ってしまう。

変わらず見つめ合ったままで居ると、ふとキッドの眉間のシワが増えてあたしは
彼の名前を仕方なく呼ぶ。



「…キッド」


手首が痛い。
そう言葉を発するよりも先に、キッドが重々しい口を開いて鋭い赤い両眼を細めた。




君が望むならば、あたしの全てを召し上がれ


(……抵抗しねぇのか、)
(付いて行くと決めた時から、あたしの全ては未来の海賊王に捧げたのよ)




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