DESSERT LOVE
□夜桜イルージョン
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「渡辺さん、公園の前のコンビニに予約入れておきましたから、
お酒とおつまみよろしくお願いしますね。
一人じゃ無理だから佐々木くんと一緒にね。
私はお弁当を受け取ってから行きますね。
部長、ほかの皆さんの引率をお願いします。
場所取りに行った松沢くん、首を長くして待ってますよ」
はるかが珍しく、企画営業のみんなを仕切っている。
今夜は企画営業部揃って、
近くの公園でお花見をすることになっている。
さすが総務で働いていただけあって、手際がいい。
俺はそんなはるかをいつの間にか目で追っていた。
「それじゃあ、一条さん、先にお花見に行ってますね。
お弁当もお酒も早く来ないとなくなっちゃいますよ」
茶目っ気たっぷりに、はるかは俺の顔を覗き込んで
ふわっと笑った。
俺がこの笑顔に弱いことを
はるかは知っているんだろうか?
「ああ、この書類を仕上げたら、すぐに行くから」
「必ずですよ。待ってますからね」
動揺を隠すように答えた俺に、
はるかは笑顔を残してオフィスを出て行った。
彼女の後姿を見送る度、こんなに切なく感じるのは
俺の方が彼女に惚れているからなんだろうか?