DESSERT LOVE

□夜桜イルージョン
1ページ/12ページ

「渡辺さん、公園の前のコンビニに予約入れておきましたから、

お酒とおつまみよろしくお願いしますね。

一人じゃ無理だから佐々木くんと一緒にね。

私はお弁当を受け取ってから行きますね。

部長、ほかの皆さんの引率をお願いします。

場所取りに行った松沢くん、首を長くして待ってますよ」

はるかが珍しく、企画営業のみんなを仕切っている。

今夜は企画営業部揃って、

近くの公園でお花見をすることになっている。

さすが総務で働いていただけあって、手際がいい。

俺はそんなはるかをいつの間にか目で追っていた。

「それじゃあ、一条さん、先にお花見に行ってますね。

お弁当もお酒も早く来ないとなくなっちゃいますよ」

茶目っ気たっぷりに、はるかは俺の顔を覗き込んで

ふわっと笑った。

俺がこの笑顔に弱いことを

はるかは知っているんだろうか?

「ああ、この書類を仕上げたら、すぐに行くから」

「必ずですよ。待ってますからね」

動揺を隠すように答えた俺に、

はるかは笑顔を残してオフィスを出て行った。

彼女の後姿を見送る度、こんなに切なく感じるのは

俺の方が彼女に惚れているからなんだろうか?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ