嘘つきな僕ら

□case1
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「えっと…蒼依のクラスは…」

廊下をうろうろしていると

「オイ」

後ろから声がする。

振り返ると

「邪魔」

とだけ言われた。

因みに道はある。そんなに狭い廊下ではないので通ろうと思えば通れるのだ。

ただ由衣が真ん中にいるだけで…

「聞こえなかったのか?邪魔って言ってんだけど」

「あ…ごめん」

由衣は反射的によけた

だが、男は通る気配がない。

「なあ?」

「あ、はい!」

「なんだその返事は」

「あ、つい…癖で」

「癖って…お前面白いな」

あ…笑った

男は笑っていた

由衣は今まで男の仏頂面しか見なかったので笑った姿にドキッとした。

「で、本題に戻るけど、なんか探してんの?」

「え?」

「キョロキョロしてたし…」

「あ…あの!蒼依…宮城蒼依のいるクラスって分かりますか?」

「宮城蒼依?ああ…うちのクラス。てかなんで敬語なんだよ」

「え?先輩じゃ…」

「上履きの色見ろよ。おんなじだろ?」

「あ…ホントだ」

「てかなんで先輩だと思ったんだよ?」

「えっと…」

偉そうだったから…とか言ったら怒るよね?
「なんとなく…かな?」

「…まあいいや…行くぞ」

「え?」

「宮城に会いたいんだろ?」

「う…うん」

由衣は男の後ろについて歩き出した。


「そういやお前さ」

「はへ?」

不意に呼ばれ、変な返事をしてしまう

「ぷっ…おま…どんな返事してんだよ」

「そ、そんなに笑わなくても!」

「あはは」

笑いながら頭を撫でられ、嬉しいような、嫌なような変な気持ちになる。


「んでお前さ、名前なんてーの?」

「あ…由衣」

「ふーん由衣ね…俺、成川煌。よろしくな!」

「こちらこそよろしくね」

「お、着いたぞ」


やっとだ…久々に蒼依に会える

胸の高まりが収まらない。

「オイ!宮城」

成川が扉を開けて蒼依を呼ぶ

「はい!煌様!」

「は?」

思わず声を上げてしまった。

蒼依は物凄いスピードでこちらまできている。

「只今参りました煌様。さあ!ご命令を」

あの…誰でもいいんで答えてください。

蒼依…こんなでしたか?

蒼依は恍惚とした表情で成川をみていた。
鼻息が荒い気がするのは気のせいにしておこう。

「呼んでたぞ?」

「あれ?由衣?どうしてここに?」

「蒼依…あんた…」

その後、蒼依のクラスを少し離れ、廊下で二人になった。というか半ば無理やり由衣が蒼依をクラスから引きずり出したと言った方が正しいだろう。
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