☆短編集☆

□僕らのヒーロー
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ずーっと昔、僕らにはヒーローがいた。

「だーかーら!僕がギガレッドで慧が怪人テメストメだって!」

「違うよ!僕がギガレッドで櫂が怪人テメストメ!」

いがみ合いが始まる。

そこへ3人の学ランをきた男達がやってくる。

「おーい坊主達!喧嘩はやめとけ」

櫂と慧がその言葉を聞き振り向いた。

「お!コイツら顔が一緒だ!」
「双子か?珍しいな!」

3人組はまじまじと櫂と慧を見る

その言葉に櫂と慧はつい、カチンときて言ってしまった。

「「珍しくない!」」

「またその言葉だよ!双子なんて全然珍しくないよな〜慧?」
「うん!だいたい似てるしか言えないのかよって感じ!双子なんだから当たり前じゃん!そんな言葉もう聞き飽きたよ!」

2人は呆れたようにそう言った。

「そ、そうか悪かったな。んで坊主達、良い服きてんなぁ〜」
「どこかのお坊ちゃんなのかな?」

3人組は申し訳なさそうに言いながらも顔はニヤニヤしている。何かを企んでそうなのは一目瞭然だった。

それを見た2人はコソコソと話した。

「なんだろ?この人達、ニヤニヤしてるよ?」

「気持ち悪いな!しかも変な髪型してるぜ?」

「ヤンキーってやつなのかな
?」

「いや、あれはヤンキーぶってるってやつだ!」

その話し声は大きく、3人組にも聞こえるほどだった。

3人組は怒りに震え、殺気立っていた。

「てめーら、人が下手に出てりゃ生意気言いやがって…」

「もういいじゃん。金だけ出して貰おうぜ?」

「なあ?坊主達。金貸してくんね?悪いことは言わない。俺らに逆らわない方がいいぜ?」

その言葉に対し、2人はまたコソコソ話し出す。

「いい大人が8歳の僕達にお金を借りようとしてるよ?櫂。」

「悪いことは言わないってもうすでに悪いこと言ってるよな?」

「うん!恥ずかしくないのかな?」

「恥ずかしい以前にダサいよな!」

2人のコソコソ話は声がだだ漏れである。

もちろん、3人組にはまる聞こえでいた。
3人組は怒りは頂点に達し1人が慧の胸ぐらを掴み

「調子に乗るんじゃねぇよ!ガキ共がァァァアアア!!」

と言いながら殴りかかった。

「慧!!」

櫂は慧を守ろうと必死で殴りかかろうとしている1人に些細な攻撃をする。

だがそれも虚しく、残っていた2人に遮られてしまった。

「邪魔するなよ。良いとこなんだから。」

その言葉とほぼ同時に慧は殴られた。

「慧
!!」

ドサッと地面に落とされた慧のそばに寄ろうとするが、捕まえている奴がそれを許さない。

「お前はあいつがやられてるのを見てろよ。」

なんとか逃れようと暴れるが所詮、小さな子供の力。10歳程度年が離れた男にかなうわけがない。

そして最後の手段と言わんばかりか2人は息を合わせ

「「助けて!ギガレッド!!」」

と叫んだ。


「ギガレッド?なんだそれ?」
慧を殴った奴が笑いながら首を傾げる。

「意味わかんねぇ事言ってんじゃねぇよ!」

地面に横たわっている慧をまたもや殴ろうとする。

慧は目を瞑り、顔を腕で守ろうとした。

ドサッという効果音が聞こえる。

だが慧は痛みを感じていない。

恐る恐る目を開けると目の前には黒髪に赤のメッシュをいれた制服をきた男が立っていた。

「おいおいテメーら、そんなガキ相手にしてんじゃねぇよ」

不気味な笑みを慧を殴っていた男に見せながら、そう言った。
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