【トキワの森入口】

□忘れられた島と君
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嫌な夢だ。





みんなみんな私を責める。




怒らないで、なんでもするから




ごめんなさい。ごめんなさい。




そんな目で睨まないで



怖い




怖い…―











『…っ…はぁ…夢?』





随分と嫌な夢を見た
服は寝汗でびしゃびしゃ、喉も乾いていたので、みんなを起こさないようにもそもそとベッドから抜け、部屋に備え付けのバスルームへ向かう



「…美穂ちゃん…?」

『あれ、灯』



戸を開けると、灯が不思議そうな顔でこちらを見遣る
彼の纏う雰囲気がいつもとは違った。

…というか、なぜこんな夜中に?


「どうしたの、こんな夜中に」

『それは私の台詞。…灯こそ、どうしたの?』




一瞬、ほんの一瞬だけ怖い顔をしたが、直ぐにいつもの調子になって答える




「やだなぁ、そんなこと聞くなんて美穂ちゃんのえっち♪
オトコノコが夜中部屋に閉じこもってすることなんて決まってるでしょー」




そしてそのまま、ゆっくり抱き寄せられ、首に灯の鼻が当たった

灯の長い髪が肩を撫で滑り落ちる
甘い匂いが、鼻を掠めた


『灯?』

「ねぇ美穂ちゃん、このままイイことしちゃおっか」

『いいこと…?』

「うん、…」



腰に回された手に力が入り、体が密着する


…今日の灯は、なんか変だ
さっきだって目が全然笑ってなかった




「…ね、僕の腰にも手、回して?」


顔を埋めらたまま灯が呟く。
顔は見えないが、寂しそうに聞こえた



『…やだ』

「……なんで?」


回された腕にさらに力が込められる。
甘い匂いがさらに甘くなり、クラクラする

だめだ、流されちゃダメだ。



『…ダメだよ灯、離して?』

「なんで…そんなこと言うの…
そーちゃん…爽縁の方が、好きだから?」


『そんなことないよ』


手を腰に回す代わりに、灯の頭を優しくなでる
不安そうに、寂しそうに泣いている子供をあやすように撫でた。















 
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