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□鷹の嫉妬と緑の鈍感
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…どうして、こんなことになっているのだろうか。

少し目線を下げれば、本気の炎を灯した高尾の目と、目線があう。
その目が少し怖くて、でも後ろは壁、前は高尾、両側には高尾の腕に挟まれている。
―…所詮壁ドンだが、そんなことを緑間が知っているはずもなく。

あぁ、逃げれないな、なんて思いつつ、
頭の片隅で冷静に分析してみるけれど、この状況から抜け出す術はやはり無いようで。
というか、
「どうしてこんな状況なのだよ…?」
「…!!真ちゃん、わかってないの?」
声に出ていたようで、その呟きは高尾の耳にきちんと届いたらしく、
しかし答えは帰ってこず、質問を質問で返されて終わった。
というか何をわかってないんだろうか。

「…何が、わかってないのだよ?」
「……いや、やっぱなんでもないわ、いきなりゴメン」
まだ少し、よくわからないが、解決、ってことでいいんだろうか。
「…?うん、まぁ、いいのだよ…」

高尾が離れてく…って考えたら少し寂しくなった。
なぜ、と自分の心に問いかけると案外簡単に答えが返ってきた。
“それは、高尾が近くにいると安心するから、だろう”
…高尾が近くにいると、安心する、か…

「真ちゃんは、そんなところが、駄目っなんだ…っ!!」
あ、れ?なんで高尾、耳とかほっぺとか、赤いんだ…?
「…?た、高尾…?」
「―…っ、あー!!もう!!」
…怒らせて、しまったか…?
嫌わないでほしい。
離れないでほしい。

ぎゅっ

「え…?」
「なんで、そんなに可愛いんだよ…?」
2M近い男を可愛いと言うのは、可笑しいと思う、というか…
「俺は可愛くないのだよ」
「可愛いよ。俺の、可愛い可愛い真ちゃん。」

なぜか、幸せだった。


end.

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