小説

□敦盛2013
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「信長さん・・・まだかな」

 本能寺の中に作った現代風のリビングのソファに腰掛け、蘭丸は信長の帰りを待っていた。

 ちょっと買い物してくるねーと出かけていった信長が出てからもう1時間。

 借りてきた映画はもうエンドロールが流れて、蘭丸は流石に少し心配になってきた。

 電話をかけようにも信長は自身のスマホを机に置いたままで出かけてしまい、連絡はつかない。

 どうしようと少し焦り始めたところで、突如信長のスマホが鳴った。

 どうやらメールが来たようだ。

 蘭丸は信長のスマホを手に取り、その先の行動を悩んだ。

 今なら見ても信長さんはいないけど、小姓の自分が主君宛てのメールを読んでもいいものか、と。

 しかし、映画ももう終わり静まり返ったこの部屋で、蘭丸の行動を遮るものは何もなかった。

 信長の行動が気になるのも事実だった。最近は自分と仕事関連で明智さん以外に連絡を取らないのに、この名前は知らないものだった。もしかして・・・と、少し疑ってしまったのだ。

 勿論信長を信じてないわけではない。が、浮気した事実は確かにあって安心できない思いもあった。

 ・・・メールを開いてしまった。

『頼まれてたもの出来たわよ♥

 あの小姓くんには内緒で、また来てね。

 いつでも楽しみに待ってるわ。XXX』

 

「――――これって・・・!」

 心臓がうるさいくらいに鳴り出した。冬だというのに、嫌な汗が吹き出してくる。

 これって完全に、そうじゃないか。XXXって、かなり古い言い回しだけどそれくらい僕にだって意味はわかる。僕に、内緒で・・・?



 一体、どういうことなんですか・・・?
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