小説

□ツンデレラ
1ページ/8ページ

 秋。
 
 ここ稲妻町、雷門中学校では文化祭の準備が進められていた。

「・・・と、いう訳で、今年はサッカー部で劇をやりたいと思いますっ!!」

 放課後の部室内で、音撫は高らかに宣言した。

「劇って・・・んなモン演劇部がやりゃいいじゃん」
 
 音撫の発言んに狩屋はポソッと意見を漏らす。しかし珍しく周りにいた部員もその意見には賛同した。

「今回ばかりは狩屋の言うとおりぜよ。
 今回ばかりは」

「いや何で“今回ばかりは”強調するんですか、やめて下さいよ」
 
 しかし狩屋は持ち前のツッコミ力を発揮するだけの展開となった。そんなみんなの意見を遮るかのように、音撫はホワイトボードを叩く。

「静かに!
 あのね、今年から実施内容はくじ引きになったの。
 で、クラス単位でやると放課後は部活に出るからって、参加しない人が出てくるの。
 だから、今年からは部活単位になったのよ。そのほうが効率いいしね」

 音撫の説明はいつも要領を得ていてわかりやすい。しかし、今回は腑に落ちない部分もある。

「じゃぁ。サッカー部なのに演劇しなきゃいけないんだとしたら、衣装代とかそういうのどうするんですか?それに何演じるにしたって女の子は必要なのに、サッカー部には女の子がいないじゃないですか」
 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ