stay on...

□Diese Welt
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…この世界に生まれてから、早い事にもうすぐで10年になる。

生まれ育った場所を離れ、私は神奈川の小学校に転校した。

神奈川第四小学校

誰が通ってた、とかは覚えてないけど…会えたらラッキー、会えなくても別にいいかな、なんて考えていた。

前世の私なら、逆ハーになりたい、とか思ってただろうけど。
今は、もう、どうでもいい。

職員室に挨拶に行き、クラスに連れて行かれる。
私は人見知りが激しいか、クラスメイトの顔なんて、その時はちゃんと見れなかった。

…だからまさか、彼と同じクラスだったなんて、その時は思いもしなかったんだ。














「じゃあ、児童会は健康委員ね。…柳生君と一緒だから、柳生君に色々教わってね?」

『あ…、はい』

"柳生君"

まさかとは思ったけど、そのまさかだなんて…。

比「よろしくお願いします、遠坂さん」

『うん、よろしく柳生君』

未来の風紀委員なんだし、もし同じ学校だとしても環境委員あたりに居そうだと考えてたのに。

比「では、仕事を始めましょうか」

『うん』

比「…遠坂さん」

『なに?』

比「いえ、…なにか分からない事や困った事があれば言って下さいね」

…この子、本当に小学校四年生?
流石、紳士って呼ばれる様になるだけの事はあるけど…。
まだ顔は幼いんだし、大人びた事を言われると、少し戸惑ってしまう。

仕事を進めているのち、柳生にも同じ様な事を言われてしまった。

比「遠坂さんは本当に小学生ですか?言動といい、仕事の進み具合といい、小学生には見えませんよ。…あぁ、いえ、あの、褒めてるんですよ?」

…って。
言動だなんて、今時の小学生は言わないと思うよ、そのままそっくり君に言葉を返してあげたいわ。
なんて、思ったけど口にはしない。

『…柳生君、これでおしまい?』

比「えぇ、四年生に与えられる仕事は少ないですから」

…これのどこが?

『…ま、まぁ、四年にしては多い量だとは思うんだけど…。確かに、少ない、ね?』

比「はい。…でも初めてです。ここまで仕事が早く終わったのは」

…柳生曰く、他の委員は遊びたい盛りらしくて、真面目に仕事をやってくれなかったり遊んでしまったり、と、終わるのが遅くなる事が多かったらしい。
…なるほど、柳生の苦労人はこの頃からだったのか。

『あー…、後片付けは私がやっておくよ。柳生君、私の分の仕事までやってくれてたでしょ?』

気を使わなくて良かったのに、なんて言ってはみたけど…柳生からしたら転校してきてまだそんなにたってない人に仕事を任せる、なんて事は出来ないのかも、なんて。

比「…気付いてらしたんですか」

『まぁ…、量を見たら柳生君の方が多いしさ。作業中に何度か手を休めてたでしょ?書く量が多いやつ、全部、柳生君自分の方に持ってってたし』

ちなみに私がやってたのは判子押したりホッチキスでとめる仕事ばかりだった。

比「…それも、気付いてたんですか…」

『…ごめん、分かってたから声かければ良かったよね。でも私が下手にやって、足引っ張るのも嫌だったから』

実際、やっても良かったんだけど…ね。
私は柳生より精神年齢的に歳上なんだから、内容は分かるし。

『自分ばっかり大変な仕事…って言うか、重荷背負ってないで、…まぁ、私じゃ頼りないかもしれないけど、少しくらい頼って貰ってかまわないからね?来たばっかりの私が言える口でもないけどさ』

比「…貴方は不思議な人ですね。普通なら、そこまで言ってはくださらない…。ありがとうございます。貴方になら…頼っても良さそうです」

『あんまり頼りにならないかもしれないけどね?』

比「遠坂さんなら大丈夫です」

この日をきっかけに、柳生とは親友になった、みたい。

…離れていって、しまうかもしれないけど。





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