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□動物園っていったら旭山かサファリか志村
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「はぁ…はぁ…」

「どこへ行ったのよアレ!!早く見つけだすわよアレ!!」

ほとんど固有名詞と化したアレを探して、とうとう僕らは猿の檻の前まで来てしまった。

ここで計画してたサプライズは、ハロウィンイベントと称して仮装した銀さんが姉上目掛けてキャンディレイを突然投げるというものだった。

銀さん、頼むからもうスタンバイしてて下さいよ…!

「新ちゃん!私はこっちを探すわ!あなたはそっちを探しなさい!」

っつーかだからさっきからコレ何を探してんの!?
なんで姉上はそんな必死なんだよ!アレを何だと思ってんだよ!

「観念して出て来なさいソレェ!!」

「いや、アレです姉上!」

とにかく、この隙に銀さんと連絡を…!

『お〜い!新八ィ!』

「 ! 銀さん!!良かった今丁度連絡を…」

『これはどーいうことだよ…、なんで…なんで…!!
マロンパフェなんだよぉぉぉ!!!』

「まだファミレスいんのかテメェェェェェ!!!スタンバイどころかまだパフェ食ってたよこの人!!
さっさと来いって言ってんでしょーが!もう姉上ここまで来てるんですよ!!どーすんですか!!」

『んなことより俺のチョコパが全然こねーんだよ!マロンパフェなんざお呼びじゃねーんだよ!ちょっとぉぉぉ!店員さァァァァん!!』

「もういいから来いっつーの!!」

くそっ!しょうがない、とりあえず神楽ちゃんにヘルプを…!

「神楽ちゃん聞こえる!?今からそっちに姉上を連れて行くから準備して!!……神楽ちゃん!?神楽ちゃん!!?」

『銀ちゃんそれ私のマロンアルヨ』

『ああ、そうだったの』

「なんでお前もファミレスいるんだァァァァァァ!!!
さっき一回こっち来てたろ!!
なんで仲良くパフェ食ってんだよ!!」

『いや、一回合流しとこうと思って』

「ファミレスで合流すんなよ!!」

くそっ!!二人に仕掛け人を頼んだ僕がバカだった!

「今からでも早く来て下さい!!」

『…って言ってるアルヨ、銀ちゃん』

『ああ〜?無理無理、だってまだ俺のパフェ来てないもの、新八ィ!お前一人でやれ!』

「はっ!?」

『もともとてめーが言い出したんだろーが、俺たちゃここでま〜ったり茶飲んでるからよぉ、
久しぶりに姉弟水入らずでお祝いでもしてやれや…おぉー!やっと来たかチョコパフェ!!』

「ちょ、待って下さい銀さん!」

『っつーことアル、頑張るネ新八ィ。銀ちゃん私にもちょっとちょうだいヨ!』

「待ってってば!!ちょっと!神楽ちゃ…!」

ブツッ

「……!」

なんだよ…!
…こ、これじゃせっかく考えた計画が台無しじゃないか!!
チョコパフェって…!
ただ面倒臭いだけじゃねーかよ!!
……僕がサプライズを提案したときは、ちゃんと手伝ってやるって言ってくれたのに…。
だから僕は…この日が不安でもあり…楽しみでもあったのに……。

「んだよ…何なんだよチキショー!!僕はただ…姉上が喜んでくれることをしたいだけなのに……!」

「新ちゃ〜ん!見つかった〜?
…!……新ちゃん?……泣いてるの?」

「……!…な、泣いてませんよ〜!さ、もうアレは諦めて、何を見ますっ?やっぱり鹿行きます?」

「………あのね、新ちゃん、私ね…」

「え…?」

そのときだった。

どぉぉ……ぉぉん!!

「!?…な、何?何が…!
……え」

「……まあ…ステキ…」

音をたてて空に現れたのは、季節外れの花火だった。

突然のそれは、多くの来園者達を驚かせた。僕らも例外ではない。

「……ふふ、きれいね新ちゃん」

「……一体誰がこんなこと」

「…もう…分かってるクセに」

「………」


ー久しぶりに姉弟水入らずでお祝いでもしてやれや


「…ははっ…、チョコパフェなんて、食ってないじゃないか…」

…マロンパフェも。

「ふふ、ありがとうね新ちゃん」

「え?」

「こんなサプライズは初めてよ…嬉しい」

「!!……姉上…気付いてたんなら言ってくださいよ…」

「ふふふ」

どおりでおかしいと思った。
“アレ”なんて、僕はそんな生き物聞いたことないもの。

「姉上…誕生日、おめでとうございます、それと……」

「…なあに、新ちゃん」

「…!……僕の、姉上でいてくれて…その…あ、ありがとうございます!!」

「……ふふっ、お安いご用よ」






冬の花火は、とても、とても、綺麗だった。









(終わり)



お妙さんおめでとうございます!(12・10/31)
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