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□高級ブランドの製品って包み紙まで高級そうだよね。
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「ごめん下さ〜い」
今日も今日とて寒い朝。万事屋では従業員三人が口論を繰り広げていた。
「ちょっ、銀さん足邪魔です。あと臭い。ちょっとそっちに寄せて下さいよ」
「あん?こっち側にはでっけー毛むくじゃらがいるんだよ、足を置くスペースなんてないね。っつーか臭いのはその毛むくじゃらだっつーの」
「誰が毛むくじゃらアルカ!乙女に向かって!!」
「いやお前じゃねーよ!乙女でもねーし!!」
「どういう意味ネ!!」
「クゥン…」
三人と一匹が足の置き場を取り合っているのは、冬の風物詩コタツ。今日起きてから今までの時間、ほとんどをコタツで過ごしている。つまり、完全に寒さに負けているのだ。
おそらくこいつら、多少の便意ぐらいなら動かないだろう。
「ごめん下さァァい!」
玄関先から声が聞こえる。
もう何度か呼び鈴も鳴らしている。
おそらく依頼があるのだろうその声は、どこかで聞いたような気がしなくもない。
いつもなら、やれ客だやれ金づるだと喜んでお出迎えするところだが、なにぶん今日は寒い。この暖かいコタツの呪縛からそう易々と逃れることはできない。
「…新八、出ろ」
胸まで掛かった布団を、さらに首元まで引き上げながら銀時が言う。
「…いつも僕が出てんですから…今日くらいは…ね、神楽ちゃん」
ゴロンと寝転がる新八。
「…そーいや定春最近太ってないアルカ、運動がてらちょっと出てこいヨ」
うつ伏せの状態で、頭まで布団を被る神楽。
「ワフゥ……zzz」
気持ち良さそうに眠る定春。
「………」
「………」
「……よし、寝るか」
「いや出なさいよォォォォォォォ!!!」
そうツッコミながら玄関扉を蹴破って入ってきたのは、定春の元飼い主、阿音であった。
「なに客ほっといて寝ようとしてんのよ!!」
「いや寒いから」
「寒いからじゃないわよ!!だらけすぎにも程があんだろーが!!」
「いーんだよ、これで。今年の冬はだらけスタイルなんだよ、だらけきった正義なんだよ」
「なんで某元三大将風!!?」
そんなことより、と新八が割って入る。
「どうしたんですか?何か依頼が…あれ?今日はもう一人の方は?」
「ホントアル、それに小っさい定春もいないネ」
「あら?一緒に来たのに…」
そう言い、先ほど蹴り破った玄関の方を覗く阿音。
「なに?赤犬と黄猿?」
「くるわけねーだろ。
百音ー?何してんのよ、早く入って来なさい」
銀時の問いかけに律儀にツッコみ、妹を呼ぶ阿音。
「っつーか入ってきなさいってさ、俺は入室許可出した覚えはねーんだけどな」
そう銀時がひとりごちていると、玄関の方から何やらガタガタッと、物音がする。
「おいおい、大丈夫アルカ?お前の片割れ」
「百音〜、大丈夫〜?」
音の方へ声をかけるが、阿音の場所からは、玄関が光の加減で暗くなっていて良く見えない。
しばらく様子を伺っていると、ようやく返事が返ってきた。
「ピー」
「いやなんで笛の音!!?」
縦笛で安否を知らせ、ようやく小っさい定春を抱いて阿音達のもとへとたどり着いた百音。
その姿はなぜかボロボロで、口にはまたもや縦笛が突っかかって抜けなくなっている。
「いや百音さんアンタ一体向こうで何があったんですか!!なんでまた笛取れなくなってんの!!」
「ピー」
「ピーじゃないわよ!!あんたよく玄関からここまでの距離でそんな重傷を負えたわね!!!逆に才能よ、なんか!!」
「ピー」
「もういいから、ピーはもういいから分かったから。
で?用件を言え」
「ああそうそう、今日って狛子とそのでっかい子の誕生日なのよ」
「そうなんアルカ!?」
「ええ、で、ちょっとやってもらいたいことがあるのよ」