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□Don't speak to me!!
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「今年は南南東を向いて食べるんですよ」
新八はそう言って白米をよそい、手のひらにのせた味のついていない海苔に満遍なく広げる。
「そうだ、大豆と落花生買ってきましたけど、どっち撒きます?」
そう自分と同じ机を囲む二人に問う新八。
「やっぱ落花生ですかね、撒いた後食べられるし」
うんうん、と一人納得したように頷く。
「あ、逝ってQの時間だ。テレビつけますねー、いやー、それにしても寒いですねー、こりゃ明日雪降るんじゃないですか?あ、お茶いります?爽健美茶と十六茶ありますけど、どっちがいいですか?あ!知ってましたか!?韓国には十七茶ってあるらしいですよ!十七って……プッ、あともう一つは
何なんだよって話ですよね〜、
あ、ところで銀さ……」
「うるせぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
天を仰いで叫ぶ銀時。
その右手には食べかけの恵方巻きが握られている。
「てんめっ新八ィィィィ!!恵方巻き食ってる間は喋っちゃダメだっつったのはテメーだろうがよ!!うるっせぇんだよ!!!」
「あ〜あ、ダメでしたね銀さん。
全く…、こらえ性が無いんだから」
「うっせぇよ!!俺が食いだしたらここぞとばかりに話しかけてきやがって!!嫌がらせかコラァァァァ!!!」
「日ごろの仕返しですよ。さ、納得巻きたーべよ」
「はっ!!上等じゃねーか。
俺今から全力でボケるからな、全身全霊をかけて笑わせにかかるからな、絶対ツッコませてやんよコノヤロォォォォ!!!」
「やってみろよコラァァァ!!!」
黙々と夕食を食べていた神楽は、恵方巻きを手に不毛な争いを繰り広げる男共を一瞥し、
ー今年もいい年になりそうだ。
こっそりと微笑んだ。