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□歌舞伎町徒然日記(3)
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僕達は今、両手を上に上げている。
「…銀さん」
「…あー?」
「何でこんな事になってるんですか」
「………」
「………」
時は少し遡る。
*
「いい所がある」
そう言って銀さんは僕と神楽ちゃんを、カブキワンコなるマスコットが生息しているカブキランドへと連れて来た。
「ぎ…銀さん、ここって…」
「…何だ、文句あっか?」
「いや…ないですけど…」
ないですけど…マジですか!?
「か、カブキランドと言えば、子供に超人気の遊園地ですよ!?」
「それがどうした」
「……銀さん、入場にお金がいるって知ってますか?」
「知ってるわそんぐらい、殺すぞお前」
いやだって!銀さんが!あの万年金欠の銀さんが‼僕達を遊園地に…!
いやどっか連れてけって言ったのは僕だけど…!
「キャッホォォォォォ!!銀ちゃん太ももォ!!」
「太っ腹な」
いやいやいや神楽ちゃん、そんな何処ぞのしんちゃんみたいなボケしてる場合じゃないよ!!
これは…!!
「じゃ、中入るか」
「何してるアルか新八!早く行くアル!」
「う、うん」
嵐どころか!
天変地異が起こるよ!!!!
「はい神楽、新八はこっちな」
パークの中心にある観覧車。その前でそう言って手渡されたのは、犬と猫の着ぐるみだった。
「銀さん…何ですコレ」
「何って…カブキワンコとカブキニャンコだよ」
「いや、そうじゃなく…コレをどうしろと」
「着ろ、そしてそのままこの辺で突っ立ってろ」
「……」
「看板持つのも忘れずにな」
「それはつまり…この遊園地のバイト…ですか?」
「それ以外に何がある」
ああ〜、なるほどね〜。
どっか遊びに行きたいならてめーで稼げと。
ああ、そりゃそうですよねー。
納得納得…
「いくわけねぇだろォォォ!!」
ダブルで蹴りかかる僕と神楽ちゃん。
「何だァそれぇ!!」
「ふざけるのも大概にしろヨ、クソテンパァ!!ちょっと喜んじゃったじゃねーか!!どーしてくれんだぁ!!!」
「あァん!!?ふざけてんのはてめーらだろーが!!働きもしねーヤツが思い出なんて作れると思うなバカヤロー!!!」
「っつーか何でこの暑い中着ぐるみ!?そんなんだからダメ人間呼ばわりされんだよ白髪ァ!!」
「んだコルァ!メガネ叩き割るぞ!!存在意義叩き割るぞダメガネェェェ!!!」
うがぁぁぁぁ!!!と、大乱闘が始まろうとしたその時。
パァン…!!
乾いた音が、広いパークに響き渡った。
「は〜い、良い子達〜」
ゾロゾロとパーク内を埋め尽くす男達。
顔には覆面、手にはピストル。
ーまさか…!!
「おじさん達に逆らうと〜」
「殺しちゃうぞ」