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□歌舞伎町徒然日記(2)
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「あァー暑ィ…」
「何でこんな日に外にいるんですかィ 俺たちゃぁ…」
呟いたのは 江戸の守護神(笑) 武装警察真選組の土方と沖田である。
「今何か…俺たちの紹介文に悪意を感じたんですが」
「奇遇だな 俺もだ」
苛立ちながら土方は胸元からライターを出し、くわえた煙草に火を着けた。
「仕方ねぇだろ 幕府の要人のガキが行方不明だっつーんだから」
言いながら煙草をくゆらせ煙をはき出す。
「はあ…将軍の妹君はともかく そんなんまでウチの管轄なんですかィ」
「…仕方ねぇだろ」
俺だってすぐにでも涼しい屯所へ帰りたいさ、そう付けたし土方はぼやく。
「にしても 何でまた…」
「歌舞伎町なんだよ…」
幕府の要人が今朝方、『歌舞伎町へ行ってきます。必ず帰るから探さないで下さい。』という内容が娘の筆跡で書かれた手紙を見つけ、慌てふためいて、自分が動かせる人間全て動かし娘の捜索に駆り出したのだ。
「ったく 探すなって書いてんだから探さなくていいだろーが 娘もいい迷惑だろ」
「そう簡単には行かねーんですよ
大丈夫だって言われても ガキのことになると放っておけない
親ってなァそういうもんでさァ」
「…だからお前いくつ?」
淡々と親の心情を語る自分より若いはずの部下に、いつだかと同じ様なツッコミをした後、短くなった煙草を新しいモノに変えた。
「とにかく、 十代半ばの娘が立ち寄りそうなところ 片っ端から当たるしかねぇーな」
「どっかで攫われたりしてなきゃいいですがねィ」
「不吉なこと言うんじゃねぇよ」
「んじゃ俺ァ向こう探してきまさァ」
そう言ってパチンコ屋へ入って行こうとする沖田。
「オイィィィ!!十代半ばって言ってんだろ!!まだそこ入れねーぞ!!」
「いやいや 案外冷房に惹かれてコッソリ入ってったかもしれやせんぜ」
「んなモンどっかのコンビニでいいだろ!つーかてめーが行きてえだけだろーが!!!」
上司の前で堂々とサボろうとする部下に頭と胃を痛めていると、「副長ォォォ!!!!」と叫びながら、数人の部下がこちらに走って来た。
「どうした」
すぐに冷静さを取り戻し、走って来た部下達を見渡す。何事かと沖田も戻り、耳を傾ける。
「さ 探していた娘が…!!」
「! 見つかったか!」
「えぇ…この町の遊園地に入って行ったのですが…!」
「保護したのか?今どこにいる?」
「いや…それが…!!」
「な…何ィ!!?」
(3)へ続く