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□歌舞伎町徒然日記(1)
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○月×日 きょうの あさごはんは たまごかけごはんであった。おいしかったです。

○月×日 きょうの おひるのさいほうそうは クウォーターボーイズだった。4ぶんの1のおとこぎをもったニュークォーターどもがおりなすシンクロ売春ドラマである。あしたサツキちゃんたちにもおしえてあげたい。

○月×日 きょうのあさごはんはたまごかけごはんであった。おいしかったです。

○月×日 きょうのクウォーターボーイズは 勘八郎が ぶんかさいのけいひ 10まんえんを おうりょうしたとうたがわれまんまと 柄本あき達のえじきとなり ついに せかいいちのニュークォーターの座を うばわれる というはなしだった。 あした、いやきょうにでも サツキちゃんたちにもおしえてあげた「いや教えちゃだめだろォォォォ!!!」

「何この日記!何このドラマ!!ニュークォーターってなんだァァ!!」

いつもと変わらない穏やかな雰囲気の万事屋。 そんな中、一人息を荒げるメガネの少年ー新八が手に持ったもの。それはつい先刻、神楽が持ってきた一冊のノートであった。

数日分書いてあるので見てほしいと手渡され、何だろうと表紙をみてみると、そこには破綻したような文字で「神楽の日記」と記してあった。
なるほどと思い、同時にこんなことをするくらいには女の子らしい所もあるんだなと、微笑ましい気持ちになった彼だが、内容を読みすぐに前言撤回することとなる。

「神楽ちゃんこれ…」
まだ荒い息を整えながら少年は少女に言う。
「卵かけご飯とクォーターボーイズのことしか書いてないよね」
「クォーターボーイズ違う クウォーターボーイズアル」
「どっちでもいいわ!!っつーかクウォーターボーイズって何!!ねぇーよ!!そんなドラマ!!」

そこで一度息をつき、ゆっくり子供を諭す様な口調で話す新八。
「神楽ちゃん よく聞いて? 日記ってのはね その日一日何があったかを書き記して 後から読み返したときに ああーこんなことがあったなぁ こんなことをしたなぁって思い出すことができる 言わば記憶の鍵みたいなものなんだよ」

そう言い新八は神楽の日記を開く。
「神楽ちゃん これみてこの日何をしたのか思いだせると思う?」
「思うアル」
「いや無理だね ヒマだったことしか思い出せないね」

神楽はムッとしたが すぐに見下すような態度で 言い放つ。
「私は過去は振り返らないネ 前だけ向いて生きていくアル」

新八は はぁーとため息をし ソファでぐだっている銀髪の男へ視線を移す。
「ちょっと銀さん アンタのせいですよ こんな面倒くさい子供に育ったのは!」
「あん?俺のせいじゃねーよ 3歳までに性格は決まるんだって何
べん言ったら分かんだダメガネ」

鬱陶しそうに答える銀時に 若干の苛立ちを覚えながら ダメガネ呼ばわりされた新八は ソファの前の机に日記を叩きつける。
「だいたいねえ 世間は夏休みだっていうのに アンタがどこにもつれてってやらないのが 悪いんですよ だからこんな可哀そうなことしか 書けないんでしょう!ヒマなのが丸わかりじゃないですか!」
「オイ ダメガネ 私の日記のどこが可哀そうアルか! お前の存在のほうが よっぽど可哀そうアル」
「んだコルァ!!どういう意味だ!!」
「まあまあ 落ち着け ぱっつぁ
ん」

食ってかかる新八をたしなめなが
ら 銀時は立ち上がり続ける。
「わーかったよ 要は日記に書け
るようなところにつれてきゃいいんだろ」
「え…まぁ そうですけど」


「なら いいところがある」


(2)に続く

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