発散する!

□水の館
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「...っはぁ!はっ...っあ!」

炎に紅く染まりあがる森の中を無我夢中で駆け抜ける。
はやく、はやく逃げなければ
少女は目頭にじんわりと溜まっていく熱さを堪えながら、走っていた。

――――――――――――――――――――――――

少女の暮らす村は、ある大国の治める土地であるものの、そんな気配を全く感じさせないような、大国の端の端にひっそりと佇む田舎村であった。
密やかながらも、穏やかで豊かな生活。
少女や村の人間はそれだけで幸せを噛み締めていられたのだ。
ところが、自国と冷戦状態にあったはずの隣国の兵士たちが突然少女たちの村に攻め混んできたのだ。
村人は惨殺され、のどかだった村は血と絶叫で溢れかえり、豊かだった森は業火に焼かれ煌々と燃え上がっている。
その炎は月明かりだけが照らしていたはずの夜空を紅く照らしだし、残酷ながらも息を飲むほどの美しさを演出していた。

少女は命からがら村から逃げ出し、今まさに紅い炎から逃れるべく森を駆け抜けているのだ。

―――――――――――――――――――――

白い肌の素足に鋭い石の破片が容赦なく突き刺さる。

少女は既に限界を感じていた

その時だった

前方に見覚えのない屋敷が現れたのだ。
きらびやかさを感じない石造りの精悍なその建物は、屋敷と言うよりも要塞のように見えた。

少女はもはや考える余裕もなく、屋敷の大扉にすがりついた。

「お願いします!!助けてください!!!ここを開けてください、お願いします!!!」

少女は何度も何度も必死に懇願した。
そんな少女の叫びが届いたのか、それとも扉が緩かっただけなのか、ふいに大扉が音をたてて小さく開いたのだ。
細い体つきの少女は扉の隙間をくぐりぬけて屋敷へと入り込んだ。

最初に少女を襲った感覚は、石で切れた足裏の傷が染みる痛みだった。
足元を見ると、水が15cmほどの高さまで貯まっている。

「...っう...!」

鋭い痛みに耐えきれず少女がうずくまっていると、そこへ男性が現れた。

「...人の...女?何故...」

紺に染まった肩までかかる長い髪、透き通るような深い碧の瞳を持った長身の男は、どこか人間離れした印象を持っていた。
少女をしばし訝しげな目で眺めていた男は、ゆっくりとした足取りで少女に近づく。
そのまま抱え込むように少女の肩と足に触れると、少女はびくりと体を震わせた。

「...怪我を負っているのだろう。あちこちに傷がある。その様子ではまともに歩けまい」

男は少女の様子に動じることもなく、冷静な声色で少女に囁く。
少女を抱き抱えると、男は水浸しの屋敷の奥へと向かっていった。

―――――――――――――――――――――

「...それで、一体どうしてお前はここにたどり着いた」

少女の体に簡単な治療を施し、男は居間の椅子に少女を座らせてからそう尋ねた。

「り...隣国の兵士が...村に攻めこんできて...」
「逃げてきたのか」

男の言葉に少女は小さくうなずく。
男は静かにため息をつくと、少女の向かい側の椅子に腰を掛けた。

「...人は我を失うと、自らが歩むべき道を踏み外すということがあると言うが、こういうことだったのか」

複雑な表情で視線を落とす男の様子に首をかしげながら、少女は男に問いかけた。

「あっ...あの...あなたは逃げないんですか...?」
「ここは本来、人に見つかる事など無い土地だ。少なくともその兵士とやらに見つかる心配は無いだろう」

男はなお、目を伏せたままで続ける。

「未だ...争いを続けると言うのか。相も変わらず、醜いものだ。人間というのは」

男の苦味を潰したような表情を垣間見たかと思うと、突然男の周囲が青白く発光した。
あまりの眩しさに少女も目をふさいだ。

光が収まった頃、少女がまぶたを開くと、そこにいたのは

青白く輝く鱗に、紺の鬣。碧く深い獣の瞳を持つ、
なんとも美しい《龍》が、佇んでいた。

「私は、この世界最後に残された龍族の末裔。その使命は、《何と交わってでもその血を後世に残すこと》」

鋭い龍の顔が、少女の眼前に迫った。
少女は驚きと恐怖で声もでない。

「故に女よ。お前にはそのための、《器》になってもらわなければならぬ」

息をつく間もなく、龍の鋭い牙が少女の汚れた服を引き裂く。

「―ッ!!」

その全身を露にされた少女は、必死に龍から逃れようと椅子から転がり落ちた。
ばしゃばしゃと水音をたてて床を這いつくばり、夢中でもがき続けるが龍の巨大な体から逃げられるはずもなく、あっけなく壁際に追い詰められた。

怯える少女。その一糸纏わぬ姿を眺める龍は一言も発する事は無く、その長い舌で少女の腿を舐めた。

「...っ!、あっ...ぅ」

突然腿を襲ったその感覚に、少女は耐えきれず、小さな嗚咽を漏らす。
...まだ成熟しきっていないというのに、妙な色香を放つ女だ。
そんなことを考えながら龍は少しずつ少女の秘部へと舌を這わせる。

「ぃっ...あ...やっ、あ...!」

少女は必死に抵抗するが、龍の太い尾に拘束されて身動きがとれず、ぱしゃぱしゃと、可愛らしい僅かな水音をたてることしかできなかった。
やがて龍の舌は少女の秘部へと到達し、そっと内部に滑り込ませる。
くちゅ、という、床に浸っている水では絶対に出ないような、いやらしい音をたてて、少女の中から透明な液が流れ出た。

...甘い。
官能的な甘さを含んだその液体を龍は舐めとり、さらに奥へと舌を進ませる。

「ん...っ!ふっあ...!」

少女は懸命に声を圧し殺そうとするが、初めて感じるその快感に逆らうことができなかった。

「あっあぅ...っん!」

じわじわと攻め立てるような龍の舌使いに、いつのまにか少女は声を殺すことすらままならなくなった。
くちゅ...くちゅりと、変わらず妖しい音をたてる少女の秘部。
少女は最早抵抗さえしなくなっていた。

それを確信すると、龍は瞬時に人間の姿へと変わった。
消えた快感、肢体にまとわりつく鱗の感触が消えて少女は一瞬自我を取り戻すが、息をつく間もなく男の唇を押し当てられる。
そのまま、今度は男の舌が自分の口内へと侵入してくる。

「...んっ、ふっ...」

繋がった舌と舌の中で、粘液がいやらしい音をたてる。
同時に男はその繊細な手で、少女の肢体を撫でまわす。
少女自身を愛おしむように滑らかな肌に指を滑らせ、男の手は小さく膨らんだ少女の双丘へとたどり着く。
その瞬間、少女がびくりと体を震わせる。
口の中から漏れる声も大きくなる。
その様子を楽しむかのように、男は双丘の先端で固くなった桃色の突起を、こり、と指でもてあそぶ。

「んっ!...っ、ん!」

少女が不意に顔を背けようとするが、男の唇がそれを許さない。
しっかりと繋ぎ止められたまま、少女は恥ずかしそうに声を漏らす。
男は片手を少女の下腹部へ撫で下ろし、未だ龍の舌の感触が残るその部分へ、指を滑り込ませる。
少女の体がびくりと反り返る、と同時に
男の長い指が少女の中へ深く押し込まれた。
そのまま少女を焦らすように、男はゆっくりと指でかき回す。
左手で弄んでいる少女の突起がより固さを増す。男も少しずつ、少しずつかき回す指の速さを上げていく。

「っふ、あんっ!...ぁあっ...ん」

未だ繋がったままの舌の間から少女の艶やかな喘ぎが溢れた。
男―...龍はいつのまにか、少女のその声を、求めるようになっていた。

液にまみれた少女の中から指を引き抜き、繋がれていた舌と唇を解いてからその甘い液を舐めとると、自らのズボンと下履きを脱いだ。二人の間に籠る熱気の暑さがうっとうしいのか、白いシャツのボタンもちぎり捨てた。

「...兵に村を追われ、転がり込んだ先で見ず知らずの男に弄ばれ...これほど屈辱的な思いを、この先することもないだろう、女よ」

冷静な声とは裏腹に、熱に揺らされる瞳で男は少女を見下ろした。

「だが...お前はこのような状況下にありながら、女をさらけ出しているではないか」

その無表情の中には、ほんの少し、切なげな色が浮かんでいた。

「...愚かな娘よ」

そう呟くと、男はそそりたつ《それ》を、少女のなかに押し込めた。

少女の中で、破ける音がした

「っ!!あぁああっ!!あ、ああっいっ、あ、あああっ」

全身を貫かれるような痛みに、少女は苦悶の叫びをあげた

「...人と交わるためには、私も人の姿でなくてはならない。人同士で交わるうえで受けなければいけない痛みを受けるのは当然のことだ」
「う、あ...ああっう...」

男は静かに、呻く少女に言った。

「...すまないな、耐えてくれ」

男は、そう声をかけると、ゆっくりと動き出した。
男の動きに合わせて、少女の呻き声と床に浸る水の音が部屋に響く。
それが幾度か繰り返されて、少女の声色は少しずつ変わっていった。

「ぅ...あっ...っん、あ、ふぁ...」

徐々に少女の声にいやらしさが戻ってくると同時に、男も腰の動きを緩やかに速めていく。

「っあ、あぁんっ!あっ...ん、っあ!」

少女の中から流れてくる液と鮮血、そしてその中の柔らかさと温かさが、男の気をも高ぶらせ始めていた。

「っうあっ!んあぁ、っん!ああっ!」

少女の喘ぎ声が大きくなっていく。
男は最早自らの理性を失っていた。
ただ本能のままに、その体が少女を求めるままに、少女を深く深く突き上げていく。

「あっああっ!ぃ、っあああ!いぅっ、あっんぁっあ!あぁ...っ!」

喘ぎ声というよりが叫声と呼ぶに相応しい少女の声を聞き、彼らはお互い絶頂を迎える。

「っあぁ!んあぁんっ、あ、ああ...んっ!ぁ、あっ、あっあっ、ああっ―――!」
「く...っ」

少女の中へ、龍の精液が、どくどくと注がれる。
男と深く繋がったまま、少女は虚ろな瞳で、びくっびくっ、と体を痙攣させていた。

男は、少女を強く抱き締めた。少女からは男がどんな顔をしているかわからない。何か囁かれたような気もしたけれど、それも耳には入らなかった。

重いまぶたを少女は緩やかに閉じる。


深い暗闇のなかで、ほんのわずかに、胎動が動く音がした。
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