黒子のバスケ

□好きです。
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その眼鏡をあげる仕草が好きです。

素直じゃない性格が好きです。

俺に向けられることのない、その目が好きです。


*


「真ちゃんってさ、好きな人いる?」

部活帰りの道は暗い。

練習を欠かさない真ちゃんは毎日日が落ちるまで練習をしていく為、使いっぱしりな俺は付き合う。

そりゃ、面倒だなと思うことは多々あるがこうして二人きりで帰るのは至福のときだ。

それでも、リアカーを引くのは辛いが。

「いるわけないのだよ。」

一瞬、息を詰まらせる真ちゃんに気付かないフリをし、さらに問いかける。

「またまたぁ〜!俺知ってるぜあの試合の時の!」

「な、にを言っている?」

その動揺にイラつきを感じながら、真ちゃんを困らせようとする自分にもイラついた。

それに試合を見なくても知っている。

中学のはなしをするときのあの顔。

憎たらしいほどの愛らしい、俺に向けられることのない顔。

自転車を思い切りこぎもやもやを吹き飛ばそうとする。

「高尾なにかあったのか?」

「なんでもないし、何真ちゃん俺のこと心配になっちゃった感じ?」

「馬鹿か」

「はは」

照れ隠しのように悪態をつくとこがなんとも言えず胸になにかが込み上げてくるのを感じる。

「俺さ、真ちゃんのこと好き。」

「は?」

しまった。

真ちゃんは黙り込み俺はなんのフォローも出来ず自分のこいでいる自転車のギイギイという不快な音が響くだけだった。

「何、マジになってんの?真ちゃんは友情って言葉知らないの?」

「……冗談がキツすぎるのだよ。」

動揺が行動に出る真ちゃんはカチャリと眼鏡をあげてため息をつく。

冗談キツいとか初めて言われた。

自分で出したフォローだけど結構傷つく。

ふぅと息をはき赤になった信号を見て意味もなく急ブレーキをかけた。

「俺、真ちゃん好きだから。うん。」

「ああ」

「好きだよ」

「そうだな」

「大好き。」

「………くどい」

驚きをなくした声は俺の目一杯の告白を薄れさす。

真ちゃんの心に届かない無意味な告白を続ける。

「好きです。」


それでも、君が好きだから。




*

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