記憶を失くした歌姫
□第6話
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海につくと、まずえいりあんの事について情報収集を始める事にした。
『危険 遊泳禁止』と書かれた札が立つ海に一つだけ海の家があったので、私達はそこの店員さんに聞いてみる。
「あ? えいりあん退治? え? ホントに来たの? あっ、そう…。ははは。いやぁ、助かるよ。夏場はかき入れ時だってのにさ、あのえいりあんのせいで客が全然こなくて参ってたのよ」
(銀)「あの、もしかして…」
(長)「えいりあんに懸賞金懸けたのって…」
「ああ、オジさんだよオジさん。いや、でもホントに来てくれるとは思わなかったよ。オジさんもさ、酒の席でふざけ半分で発言しただけにまさか本当に来てくれるとは…」
じゅわ…
「あっちィィィィィ!!」
銀さんが店員さんの顔を焼きそばを焼いていた鉄板の上に押し付ける。
(銀)「酒の席でふざけ半分? オジさーん、こっちは生活がかかってんだよ。男は冗談言う時も命がけ。自分の発言には責任を持て!」
すると店員さんが顔を上げて言う。
(店)「待ってェェェ! 落ちついてェェェ! 大丈夫! 金ならちゃんと払うから! ちゃんと用意してるから!」
すると神楽ちゃんが焼いていた焼きそばを食べ始める。
(神)「はむ……ウソつけよ。こんなもっさりした焼きそばしか焼けない奴、金持ってるワケないネ。どうせお前の人生ももっさりしてるんだろ? ホラ言ってみろヨ、もっさりって…」
とか言いつつも次々と焼きそばを頬張る神楽ちゃん。
(店)「ちょっと! なに売りモン勝手に食べてんの!? オジさんだって海の男だぞ! 確かに金はないが、それ相応の品は出すって!」
(あ)「ていうかお金はないんだ…」
(銀)「ほう、じゃあ見せてもらおうじゃねーか。えいりあん退治はその後だ」
みんなはうんうんと頷いた。