記憶を失くした歌姫

□第6話
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駅から少し離れた所で、私たちは歩道に並び立つ。


(銀)「なんだよ…。偉そうに啖呵切った割にはヒッチハイクかよ」


(神)「私知ってるアル! お色気やウインクで車を止めるヤツアルネ!」


(あ)「そうなの? でもお色気って、私には無理…いや、でもここは頑張って……」


(銀)「いや、違うから…。間に受けないでね、音莉ちゃん」


(長)「よっしゃ! 俺の太ももが火を吹くぜ!」


(新)「やめましょうよ、長谷川さん。そのすね毛じゃ止まるもんも止まりませんから…」


(妙)「はぁ…仕方ないわね。まずは両腕で頭を挟み込むようにして…」


銀さん達は言われた通りにやる。私と神楽ちゃんはそれを見つめる。


(妙)「下っ腹に力を入れて…」


と、今度は少しお尻を突き出す。


(妙)「前かがみで胸の谷間を強調する感じで…」


みんなが強調するように…って男の人に谷間はないよね…。


すると、お妙さんの目が光る。


(妙)「逝ってこいや、オラァァァァァ!!」


通り過ぎようとする車に、お妙さんに蹴られた新八君が突っ込む。


(新)「あわわわわ!」


続いて銀さん、長谷川さんもお妙さんに蹴られ、最後に定春が蹴られて車の前に転ぶと、やっとの事で車が止まった。


お妙さんと神楽ちゃんが有無を言わさずその車の扉を開ける。


(妙)「よいしょっと」


(神)「冷房強くしてくれヨロシ」


二人が遠慮なく車に乗り込む。


みんなは顔から血が流れている。みなさん御愁傷様です…。


そして私も車に乗り込んだ。


運転手さん、ごめんなさい…。









               

(妙)「スイマセンね…。でもよかった。たまたま、通り道で」


銀さん達も乗り込み、中はギューギュー詰めになりながらも、車は高速道路を走る。


(神)「ねェねェ、カセットかけてヨ、オッちゃん!」


神楽ちゃんが前にのり出すと、その前にいた新八君が押し潰される。


(新)「か、かか神楽…神楽ちゃん、痛いってば…! 傷口、傷口押してるから!」


(銀)「なあ、身体張ってこの扱いってどーよ!」


(長)「ていうか暑っ! 暑くて臭っ!! あんたポマードつけすぎだよ!」


みんなが一斉に騒ぎだす。


(神)「マイベストかけるヨロシ!」


(妙)「細かい事は気にしないの、新ちゃん」


(あ)「銀さん押さないで! 胸当たってる!」


(銀)「えっ…マジ? ラッキー! って、定春押すな!」


すると車内に異臭が漂う。


(神)「定春、しっこしたアルか?」


(銀&あ&神&新&妙&長)「「「「「「うわああああああああ!!」」」」」」


その騒ぎで車があっちこっちに動く。


(銀)「くっせ! 窓開けろ!」


(神)「マイベスト!」


すると運転手さんがその騒ぎにハンドル操作を誤ってしまい…


ドカァァァァァァァン!!


…そのままガードレールにぶつかり、
車は半壊してしまった。


「ヒ、ヒドイ…」


銀さん達はさっさと降りて、そのまま高速道路を歩いていく。私もそれに続く。


(銀)「なんだよ、使えねー車だな…」


(神)「ホントアルヨ! 今時カセットかけられないなんてクソアルヨクソ!」


(新)「それは違うだろ…」


(妙)「はぁ…折角苦労して乗せてもらったのにみんながはしゃぐから……」


(銀)「まるで自分が止めたような言い方だな…」


(あ)「運転手さん、ごめんなさい…」
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