記憶を失くした歌姫

□第2話
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それからしばらく情報収集をしていた私達。今はクラブ? とかいう所に来ていた。


(マ)「あ? 知らねーよ、こんな女」


写真を見せると、バーのマスターにそう言われてしまう。


(神)「この店によく遊びに来てたゆーてたヨ」


(あ)「多分、とかでもいいので…」


(マ)「そんな事言われてもねェ…。お嬢ちゃん達、地球人の顔なんて見分けつかねーんだよ。名前とかは?」


(神)「えーっと……ハ、ハム子」


神楽ちゃんが適当に答えてしまう。いや、確か公子(きみこ)さんのハズなんだけど…。


(マ)「嘘つくんじゃねェ! 明らかに今つけただろ! そんな投げやりな名前つける親がいるか!」


(神)「忘れたけどなんかそんなん」


(マ)「オイ! ホント捜す気あんのか!?」


(あ)「えっと、あの…」


「公子さんだ」と言おうとすると、「忙しいからさっさと行け」と促されてしまう。


仕方なく銀さん達の所へ戻ろうとすると、新八君が誰かと話していた。


(あ)「新八君、あの人は?」


(新)「さぁ…」


長髪の人で、見た感じ地球人じゃない。天人と呼ばれる人だろう。


(神)「新八ィ、音莉。もうメンド臭いからコレで誤魔化す事にしたヨ」


と、明らかに違う人を連れてきた神楽ちゃん。


(あ)「どこから連れて来たの!?」


と聞くと、「あっち」とバーの方を指差す。


(神)「お酒飲んでたトコ連れてきたアル」


でもなんとなくその人の様子がおかしい。


(新)「あー、ったくどいつもこいつも仕事をなんだと思ってるんだ、チクショー! 大体コレで誤魔化せるワケないだろ! ハム子じゃなくてハム男じゃねーか!」


(神)「チッ、ハムなんてどれ食ったって一緒じゃねーかクソが」


(新)「何? 反抗期!?」


すると、イキナリハム男さんがその場にバタンと倒れた。


(神)「は、ハム男ォォォ!」


(新)「オイィィィ! 駄キャラが無駄にシーン使うんじゃねーよ!」


(神)「ハム男、あんなに飲むからヨー!」


(あ)「違う。その人立ってた時も全然動かなかった。その人は多分酔ってるじゃないよ」


うつぶせに倒れたハム男さんをひっくり返すと、ハム男さんは奇妙な笑みを浮かべた表情のまま意識が飛んでいた。


まるで天にも昇っているような表情で……。


(あ)「やっぱり…」


(新)「ホントだ。酔っぱらってるんじゃない!」


(マ)「あー、もういいからいいから。あとは俺がやるから、お客さんはあっちいってて。…ったく、しょうがねェな。どいつもこいつもシャブシャブシャブシャブ……」


さっきのバーのマスターがハム男さんを担ぎ、運んで行く。


(あ)「シャブシャブ?」


(神)「ハイレグアルか?」


(マ)「この辺で最近新種の麻薬(クスリ)が出回ってんの。なんか相当ヤバイヤツらしいからお客さん達も気をつけなよ」


そう言いながら、バーのマスターはハム男さんを引きずっていく。


(あ)「もしかしてその麻薬(クスリ)とやら、今回の事件に関係あるんじゃ…」


(新)「かもしれませんね…」


銀さんにも聞いてみようと思ったが、私はその銀さんの姿が見えない事に気がついた。


(あ)「そう言えば銀さんは?」


(新)「二日酔いで気持ち悪いから適当にやっててくれ…って言ってそのままトイレに……」










それからしばらく銀さんを待っていたが、なかなか戻ってこない。


(新)「遅いなァ、銀さん。どうも嫌なカンジがするんだよ、このお店。早く出た方いいよ」


(神)「私、捜してくるヨ」


神楽ちゃんが立ち上がろうとしたその時……




カチャ……



……神楽ちゃんの頭に銃が突き付けられる。


(あ)「え!?」


「てめーらか、コソコソ嗅ぎ回ってる奴等ってのは」


(新)「な、なんだアンタら!」


「とぼけんじゃねーよ! 最近ずっと俺等の事嗅ぎ回ってたじゃねーか、あ゙ぁ? そんなに知りたきゃ教えてやるよ。宇宙海賊『春雨』の恐ろしさをな!」


天人と思われる十数人が殴りかかってくる。


私もハリセンを持ち、みんなで応戦するが、相手は銃を持っている。下手に手出しができない。


(神)「うぐっ…!」


(新)「がはっ…!」


(あ)「神楽ちゃん、新八君!」



二人の口にタオルが押しあてられる。



「可愛い嬢ちゃんだけど、ちょっと乱暴させてもらうぜ」


バコッ!


(あ)「うっ…!」


殴られたお腹が痛んで、あまりの痛みに動けなくかる。


さらに何か変な臭いのするタオルで口を塞がれる。


その臭いを嗅いだ途端、頭の中がふわふわと気持ちよくなってきてしまう。



もしかしてこれが例の麻薬(クスリ)なんじゃ……。




(あ)「(銀さん、ゴメン…)」


そのまま私の意識は途切れた。
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