記憶を失くした歌姫

□第9話
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〜ターミナルにて〜


翌日、私達は準備を済ませ、ルンルン気分でターミナルまでやって来た。


そして、今は銀さんの身体検査待ちである。


(あ)「楽しみだね、新八君!」


(新)「そうですね! 早く宇宙に行きたいな〜。ねェ、宇宙から見る地球はキレイなんでしょ? 神楽ちゃん…って」


(あ)「…神楽ちゃん?」


横にいたハズの神楽ちゃんはいつの間にかいなくなっていた。


「お客様、ペットの連れ込みは禁止になっておりまして…」


(神)「違うヨ。人形だヨ」


「人形はハァハァ言いません」


声のした方を見ると、神楽ちゃんと係員さんが言い争いをしていた。


(神)「違うヨ。人形じゃないヨ、加湿器だヨ」


「こんな生臭い加湿器あるか!」


(神)「じゃあやっぱりペット…」


(新)「はぁ…」


(あ)「係員さん、ツッコミお疲れ様です…」


神楽ちゃんは折れる事なく再び説得を始める。


(神)「定春誰にも迷惑かけないし、人にも噛みつかないヨ。私保証するアル」


と、神楽ちゃんの指差す方には…


(新)「あっ…」


(あ)「さ、定春…」


定春が、ソファーの上で横になっていた人に噛みついていた。


「いや、やってるから! 言ってるそばからやってるから! …お…お客様、大丈夫ですか!?」


するとその人はムクッ…と起き上がる。


(?)「オイ、なんじゃ? 気持よく寝ちょったのに…もうフライトの時間か?」


「お客様、恐れいりますが、頭の方がフライトしかけております」


(?)「なんじゃ? 頭? なんかズキズキするのう。昨日飲み過ぎたきに、アッハッハッハッハ」


「いや、今呑まれてるから!」


(?)「寝汗もベトベトじゃ。…アレ? 真っ赤じゃ…あー、トマトジュース飲んだから」


「オイィィ!ポジティブシンキングにも程があるぞ!」


そしてそのまま何事もなかったかのように定春を引きずりながら去っていくその男性。


(?)「はぁ、体も重いし完全に二日酔いじゃのう」


「ちょっと人の話聞いてんの!?」


(神)「あ、定春〜!」


(あ&新)「「………」」






……何かが去った。


(新)「なんだ? あの人…」


(あ)「でもきっとタダ者じゃないと思うな…」


銀さんの知り合いだったりして…。
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