深緑の薔薇
□哀しみの内に眠るものは 第1章 「永遠の世界」
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『また…世界が終わる』
私は見知らぬ場所に立ち、そう呟いた。
ひゅうひゅう、と風が吹く中で私は平然と立ち尽くしている。
『…貴方は』
背後から現るは、人形師と呼ばれるレリウス=クローバー。
かつて六英雄と呼ばれたユウキ=テルミ。
「蒼の男は逝ったか」
『また、生まれる』
「…そうか」
そう。この世界はループし続ける永遠の世界。
蒼の世界。
「てめぇ…何者だ」
『それは前回も聞かなかった?』
「てめぇは観測る事が出来ねぇ。それは時によっちゃ、便利でもあるが時には」『凶器…でしょ』
舌打ちの音が見なくても分かった。
『…そろそろ時間ね』
私はゆっくりと目の前にそびえ立つ窯に向かう。
『それでは…またお会いしましょう』
そう言うと私は窯の中にまっ逆さまに落ちていった。
「落ちるとか…意味わかんねぇ」
なぜかは知らない。
彼女は観測る事が出来ない。
それ以外の事は見えるのに。
「何で見えねぇんだ?」
「彼女が何かの術式をかけているのだろう。未知の術式を…な」
未知の術式…?
「はっ…んなもん」
俺が解いてやるよ…と
言おうとしたが出来なかった。
彼女の言う“時間”が
来たから。
「また、繰り返すのね…」
一人の少女が呟く。
そして、その言葉を合図に世界はまた始まる。