短編

□彼女的リボンの使い方
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「〜♪」

あたしの隣でポニーテールがぴょんぴょんしている。
さっきからスキップしながらクリスマスソングの鼻歌を歌っている由依子(ユイコ)。





あ…曲変わった…。


今日は朝から、雪が降ってたから、自転車が漕げなかった。だから歩いて下校中。

下り坂になって、由依子はスキップをやめた。さすがに身の危険を感じたらしい。
でも口からは相変わらず、クリスマスソング。

「♪〜♪〜」

目線は雪のせいで下ばかり向いてるけど、
声音はルンルンしていた。
なんていうのか…色で言うなら淡い黄色な感じ。


…あーでなければ可愛いのになぁ……。


そう、このポニーテールな女の子は…


「むにゅっ…!」

「…!?」

急に左胸にあてられた手。…あーあ、始まった。

「うん!今日もいい柔らかさで」


変態です。

そして彼女です。



「なにやってんの、由依子さん」

「真樹(マキ)ちゃん触ってるー」

「はぁ……」



もにゅもにゅもにゅもにゅ…


「由依子!!いい加減触りすぎ!てか、揉みすぎ!!やめいっ!」

「だってー…真樹ちゃんの胸触ってるとほんわかするんだもん…もにゅもにゅだしー…」


由依子はふにゃっと笑う。
由依子はいつも幸せそうに、あたしを触っている。

幸せそうに胸をさわり、

幸せそーに脚をさわり、

満面の笑みで……っと、
いけないいけない…。


「あれ?ちょいまち…真樹ちゃん今日何日?」

由依子が手はそのままに訊いてくる。

「21日だけど…」

「えー!!クリスマスもう少しじゃん!!」


「え。ちょ…あんたクリスマスソング歌ってたのって、それ知ってたからじゃないの!?」

「いや、まさかここまで近づいてるとは……」


由依子が顎を持って、唸っている。



「真樹ちゃん、24日暇…?」

しばらく唸っていた由依子が訊いてくる。

…暇じゃないと言ったら、由依子はなんと言うだろうか。


少し興味が沸いたけど、
そこは素直に答えることにした。

「暇だけど……」

「よーし!じゃあクリスマス一緒すごそ!!イブだけど!クリスマスは学校あるし……」

「…いーよ」

由依子とクリスマスか…。なんかちょっと心配だけど、楽しみかも…。

結局、由依子はあたしの家の前に着くまで、あたしの胸を揉み続けた。








そして24日。

お菓子も持った、プレゼントも買った、よしっ…。


ピンポーン……

あたしは、由依子の家のインターホンを押した。

話し合いの結果、
今日は由依子の家にお邪魔することになった。

カラオケに行くとか
遊園地に行くとか
色々考えたけど、

お互い金欠だという悲しい事実に気づいたため、
やめた。


たまには
ゆったりしたクリスマスもいいだろう。


「はーい!」


ガチャっ


インターホンを鳴らしてから数秒後、由依子が出てきた。

「真樹ちゃん、今日もかわいいね!さ、どぞどぞ」

由依子に促されて
中に入った。








午後7時。

「「メリークリスマース!!」」

何回目の乾杯だろうか。
由依子とコップをぶつける。

「やっぱり夜だとまたテンション上がるねぇ!」

由依子は酒に酔ったかのようにハイテンションである。

…コップの中身、オレンジジュースだよね…?


「真樹ちゃん、はい!プレゼント!」

でろでろ由依子は赤い紙袋をあたしにくれた。

「いーの?」

「いーの!真樹ちゃんは大事な大事な由依子の彼女だもん!プレゼントあげて当然でしょ?」

「ありがと…あ、あたしも!」

あたしはお菓子と一緒に持ってきてた紙袋を由依子に渡した。

「え?由依子に…?」

「うん…あんまり好みじゃなかったらごめん…」

「ありがと真樹ちゃーん!!」

ぎゅうっ…

由依子はあたしに凄い勢いで抱きついてきた。

「真樹ちゃん、大好き…」

そう言って由依子はあたしの唇にそっと唇を当てた。

「……あ…たしも…」


「はうあっ…今日の真樹ちゃんいつにも増してかわいすぎ…」

「うっさい…!」

あたしを抱きしめたまま由依子が呟く。

「由依子…真樹ちゃんが食べたくなってきちゃったな……」

「な…!」

「プレゼントになってくれる?真樹ちゃん…」

そう言って由依子は、あたしがあげたプレゼントの包装紙についていたリボンを手に取った。


「これをこうして…こうしたら…」


そうしてするするとあたしの首にリボンを巻いていく。

「真樹ちゃん…だめ?」

由依子はとろっとした目で訊いてくる。手はいつのまにかあたしの右胸をとらえていた。


「真樹ちゃん…リボン取らないと、オッケーってとっちゃうよ?」

やめてくれ…あたしは由依子のその顔に弱いんだ。

「真樹ちゃん…?」

あーもうっ…


「……っ…今日だけだから、ね!」

きっとあたしの顔は真っ赤に決まっている。

由依子の顔が見れない。

「…真樹ちゃん、いただきます」

しゅるっ…

首に巻かれたリボンがほどかれ、さっきよりも深いキスをされる。


それからのことは
あたしの口からは言えない。

ただ、一つだけ言えるのは、由依子とすごしたクリスマスイブはやっぱり楽しかったってこと。


…だけどしばらく由依子の部屋に入れそうにない。




-end-

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