短編

□かっこいい(仮)
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「稲田ちゃーん!帰ろう!」

「ん」

放課後。
一緒に帰るのが
私たちの日課です。


「あー…くそっ…胸くそわりぃ…」

「どうしたの?」

「なんでもねぇよ」


私の彼女の稲田愛乃(イネタアイノ)ちゃんは口が悪いです。

暴言をバンバン吐きます。

「愛乃ちゃーん?」

「名前で呼ばないで」

あと、名前で呼ばれるのが嫌いです。

本人曰く
「名前負けするから」
らしいです。

そんなことないのになぁ……。

でも本人が嫌がるので、私は「稲田ちゃん」と呼びます。

「髪切ろっかなぁ…」

「またモテちゃうね」

「意味わからん」

稲田ちゃんの髪型は黒のショートカットです。

友達から「女装してる男子」って呼ばれるそうです。

まぁ…稲田ちゃんは背も高いから……。


「……チョコ食べたい」

稲田ちゃんがスカートのポケットを漁っています。

またチョコ取り出すのかな……。


稲田ちゃんは常にポケットにチョコレートを入れています。

彼女はチョコレートが大好きなのです。


「あ……ない……」

稲田ちゃんが寂しそうにポケットから手を出します。

どうやら今日入れていた分は食べてしまった模様。

相当食べたかったのか、

稲田ちゃんはしょぼくれた大型犬のようになってしまいました。

んーどうしよう……。

「あ!」

「?」

私は思い出しました。

「私!今日チョコ持ってる!」

私はリュックを漁ります。

確か、昨日コンビニで買った板チョコを持ってきてたような……。

「…あった!!」


私は板チョコをリュックから出して、稲田ちゃんに渡しました。

「ちょ…ちょこ!チョコ!」

稲田ちゃんは
幼稚園児のように喜んでいます。


一見クールでお姉さんな
稲田ちゃん。

実は、
コロコロと表情が変わります。


そんな稲田ちゃんが
私は大好きです。

-end-

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