うちは兄弟短編集
□甘い誘惑
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「母さん…何してるの?」
「あら、サスケ、今日はお稽古終わったの?」
台所でミコトが何か作っている。別段、何か特有の香りとか、そんなものは感じられなかったけれど
やたらと力がいるらしく、少し汗をかいている。
「お稽古じゃないよ…修行なの」
ミコトの手元を覗くと、初めて見るものがある。白くてまるまるしている固まり…
「母さん…それ、なあに?」
「そう言えばサスケは…そうね…出来上がりしか見たことなかったかしら?」
にこにこしながら何かを作っている母の顔を見上げたり、手元の白いものを覗き込んだり…
「…見たこと…あるの?」
「そうよー?そうね…夜には毎年見てるはずなんだけど…」
わかったかしら?と言うようなイタズラっぽい目をサスケに向ける。
「んー…」
「あ!」
「おだんご?」
「そうよ。こうやって作ってるのよ」
「サスケもやってみる?」
「うん!」
「兄さんが大好きなおだんご、オレも作る」
「あら。お兄ちゃんが好きだからお手伝いなの?」
「うん!」