Book:J.H

□Q2.encounterA
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赤司が放った言葉に愕然としながらも、私は何とかお弁当を完食した。

だが、疑問は消えない。

何故?

どうしてあの事を知っているのだろう。

あれはもう半年以上も前の事だし…そもそも、関西事情を何処まで彼は把握しているのだろうか。

そうこうしているうちに昼放課終了の予鈴が鳴ったので、私は足取り危うくクラスへと戻った。


教室に入ると、依然として騒がしいクラスメートの喧騒を横目に、私は赤司を見やった。

彼は今前の席の長身の…確か敦…だったかと何かを話していた。

同じクラス、ね……。

違っていたらどれだけ良かったか。

席が離れているのは不幸中の幸いか…。

自分の席について、お弁当箱を鞄の中に片付けるときにふと思いついた。

次の放課にでも問い詰めようか、と。

知られているのなら、下手に隠す必要はない。

ただ、どうして知っているのか知りたいのだ。

よしっ!

心の内で自分を励ますように勢いづけた。

そして、思いを馳せるのは、まだ終わってもいない授業の後の放課。

やる気と闘志でこの授業は寝ずに済みそうだ。


キーンコーンカーンコーン…。

「起立、礼」

号令が済んで、いざ!赤司の元へ!

と、彼の席を見やると、そこは既にもぬけの殻だった。

「…へ?」

思わずすっとんきょうな声を出してしまった。

「…え、あれ…?何で…!?」

なんでもういないの!?

赤司のついでに、あの長身君もいない。

まさか、あの号令が済んで、私が視線を移す前に教室から出ていったというのか!?

ありえない!!



だけど、諦めてはいけないと次の放課へと狙いを定めたが、またしても二人は号令直後に消えてしまっていた…。


気がつけば、もう放課後。

赤司に指定された時間。

何がなんでも放課後体育館に来いってことか…!!

赤司のいいように扱われているような気がして、心底腹が立っていた。

「お、堺!」

「はい!?」

ものごっつ態度悪く返事をしたその相手は、担任だった…。

「おぉ…なんかご機嫌斜めだな…何かあったか」

まさかの悪態を曝してしまい、しどろもどろしながら「いえ…何でもないです」と言い繕う自分が情けない。

「今日はこのまま帰るのか?」

「…?」

何故そんなことを聞くのだろうかと不思議に思っていると、

「此処では生徒は必ず部活動に参加する決まりだから、もし時間があるなら何処かに見学しに行
くといい」

あぁ…、納得。

「…分かりました」

「ただそれだけだ。転校初日で部活動だ何だかんだと大変かもしれんが、頑張れよ」

そう言うと、担任は爽やか?な笑みで去っていった。
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