短編

□強がりなクルーク
1ページ/1ページ

今私はクルークと一緒に同じ空間にいて、なおかつ隣に居るのだけれど…。
クルークはいつも持っている本を読んでいる。
本に嫉妬した私は、彼の手から本を奪い取り膝に跨がって、向かい合わせの形で腰を下ろした。


『クルーク、私はクルークの事好きだからね!』
「へぇ、そうかい」


クルークは本を奪われたからか、ムッとした表情で辛辣にそう言い放った。


『酷いなぁ…クルークは…』
「そんなのボクの勝手だろ?すみれに言われる事じゃ無い」


その反応を見た私はにっこりと笑って鼻がぶつかるくらいに近く、顔を寄せた。が、無反応。
悔しくなった私はクルークにちゅっとリップ音を鳴らしながらキスをした。
そして離れた後にクルークの顔を見ると…真っ赤に染められた顔と大きく見開いた瞳を此方に向けて固まっていた。

あれ…?さっきまでの余裕は?とか考えていたら頭に衝撃が。


『いっ…いたあっ!?』


その衝撃のお陰で、私はソファーの上から背中を打ち付けて落ちた。痛い。
何が起こったのか分からずにクルークを見上げると右手チョップの形で固まっていた。
仮にも女の子に手を出すか?普通に考えて…。
クルークは勢い良くバッと立ち上がり、私に震える手で指を指して、


「キっキミは不意打ちでそういう事をするんじゃない!!こっちの気持ちも考えろ!!」


と言って、走って自室に駆け込んだ。


『だからって…チョップするの?』






(私の小さな呟きは、)
(他の人には聞かれずに消えていった)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ