短編

□独占欲の強いクルーク
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ふふふ…みんな知らないだろうけど、ボクにはボクに見合った彼女がいるのさ!!


「やあ、すみれ!どこに行ってたんだい?学校にはいなかったけれど」
『ん?あー、今日はねぇシグと虫取りしてきた』


彼女がいるのだけれど…。

「すみれ!今日もどこに行ってたんだい?」
『あー今日はシェゾとお茶会だよ。これ、クルークにお裾分けだって。はい』
「う、うん…ありがとう…」


ここまで放置されると泣きたくなる。……たまにはボクにもかまってくれないのかと疑問に思う。


「やっぱりすみれはボクよりシグとかシェゾの方が好きなのかな…」
「クルーク?どうしたの?」


教室で一人呟いたら、アミティが教室に入って来て不躾に質問をしてくる。


「いや、なんでもないよ」
「あ!分かった!!すみれに構ってもらえないんだ!!」
「……」
「図星でしょ」


後ろ手に扉を閉めながら苦笑しつつ目の前の席に座る。
……アミティってなんで勘が鋭いのかなぁ…。
しかし他人に言い当てられると何とも言えない悔しさが込み上げてくる。


「……そうだよ、すみれはボクの彼女なのに他の奴のところに遊びに行ってばっかりだから…」
「うーん…すみれの考えとは違うかも知れないけど、すみれは構って欲しくてこうしてるのかもだよ!!」


……でも、全然そんな素振りは見せなかった。
すみれはボクの事なんて興味ないのかも知れない。
そう俯きながら考えていたら教室の扉が勢いよく開き、彼女がやって来た。


『クルーク!何でアミティと二人きりでいるの…』
「…っ!すみれだって他の奴のところに遊びに行っているじゃないか!!」
『……だって…クルークが何も言わないし、しないから…構って欲しくて…っ』

そう言ったすみれはボクにキツく抱きついてきた。
……馬鹿だなぁ…原因、ボクじゃないか…。
少しの驚きはあったが、すみれの背中に腕を回した。





(ごめん、大好き…)
(ボクもごめん、大好きだよ)

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