短編
□アンスリウム
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「すみれ、好き」
ぎりぎりぎりぃ、という効果音とともに私の腹部に抱きついているシグは私の顔が青ざめていっているのに気づいていない。
「すみれは?好き?」
『シ……グ、主語が…抜けている、うえに痛いのだけれど……』
「好きって言うまですみれ離さない」
おおう…このままでは私のライフはゼロになってしまう…。
思った通りに好きだよ…。と言えばシグを見てみると普段表情の乏しい彼の顔に笑顔があった。
『完全には離してくれないのね…』
「うん、すみれは嫁だから」
『……ちょっと、それは誰から聞いたの』
「サタン」
あの変態第二号めっ!
シェゾの次に変態と呼ばれているやつから教わっていたのか…。
しかしサタンとシグの接点があったことに驚きだ。
『けど嫁なんて言葉は本当に好きな子にしか言っちゃダメだよ』
「すみれが好きだからいい」
……可愛いなこんちくしょう。
思わずシグを抱き締めたら腹部に再び痛い程圧迫感が。
(あれ……、これデジャヴ…)
(すみれ、好き)