短編

□アリウム
1ページ/1ページ

本日は数学が分からないというすみれのために数学を教えている。
私はぷよ勝負でサイン、コサイン、タンジェント、インテグラル、パーミテーション等、数学に関する物ばかり使う。


『えーと…これを応用すればいいんだっけ?』
「違いますよすみれちゃん、さっき使ったやつで大丈夫です」
『あー…なるほど、解けた!!』


解けない時は難しそうな顔で悩んで、解けた時は嬉しそうに笑ってくれる。


「じゃあ一通り終わりですね!」
『うん、また手伝って欲しいなーなんて…』
「任せてください!」


私にだけに向ける笑顔を独り占め。
好き、すみれちゃんを私は好き。
りすくま先輩みたいに言うとすみれちゃんを、「愛してる」……だけど…女の子同士だから結ばれない。
私が男に生まれればよかった。


『……りんごちゃん、どうしたの?』
「い、いえ!!何でもないですよ」
『嘘、りんごちゃん泣きそうな顔してる』


やっぱりすみれちゃんに隠せる訳がない。
だけど言って嫌われるならこのままでいたいのは私の我が儘だろうか。


「…言えない、内緒の悩みです。大人は悩みが一つくらいあると綺麗になるとかならないとか」
『そっか、それならしょうがないね…じゃあ私の悩み聞いてもらえる?』
「はい。私で良ければお聞きしますよ!」


すみれちゃんに悩みがあるなんて知らなかった。どんな悩みだろう。


『ありがとう…実はね好きな人が出来たのかも知れない』
「え、どんな人ですか…?」
『明るくて、優しくて…太陽みたいな人……私と一緒によくいてくれるの』


あぁ、やっぱり失恋だったみたいだ。…戦う前に決着がついたみたい。
好きな人…誰だろう、まぐろくんもりすくま先輩もありえそうだ。


「その人は、誰なんですか…?まぐろくん…?りすくま先輩?」
『ううん、その二人じゃないよ』


他にすみれちゃんと共通の友達は知らない…私の知らない人なのだろうか。

「そうですか…」
『……ねぇ、気づかない?』
「え?」
『好きな子、りんごちゃんだよ…なんてね、気持ち悪いよね、女の子が好きなんて…』


すみれちゃんは強い。私が躊躇った告白をしてのけたのだ。
それ以前に私を、好き?
私の手は思わずすみれちゃんを抱き締めた。


「好き…、私をですか…?」
『はい、私はりんごちゃんが好きです』
「私もすみれちゃんが大好きです、付き合ってください」





(抱き締めた彼女から)
(甘い魅惑の香りがした気がする)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ