短編

□お菓子よりも甘く愛しい君が好き
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レムレスと幼なじみになって早、十うん年
年齢と同じ年数をレムレスと居る。単に家が近いからだけれど。


『レムレス、おはようございまーす』
「おはようすみれ、お菓子食べる?」
『甘いもの食べると、授業中眠くなるので後でください』
「ん、分かったよ。放課後あげるね」


こうやって朝、挨拶をして放課後に会う約束をする。これはこの学校に入学してから変わらない。
放課後にレムレスは授業が終わってから私のところに来る。
…フェーリかクルークを連れて。割合では前者の方が多い9:1だ。
珍しく今日はクルークだった。


『あれ、今日はクルークだねー珍しい』
「すみれかい、久しぶり…あ、相変わらずちんちくりんだね!!」
『それは失礼じゃない?』

開口一番それかい。…確かに私の体格は貧相…いやスレンダーだけど。
しかし、ちんちくりんは頂けないな。


「じゃあ約束通りほら、あまーいお菓子をプレゼントだよ」
『今日のおやつは何ー?チョコレート?キャンディー?』
「ううん、クッキーだよ、すみれが最近疲れてるみたいだから休めるようにって」
『あーありがとう、確かに最近疲れてるみたいで』


努力。学年上位にテストで食い込むにはそれしかない。その為、最近は寝不足である。
ちなみにクルークも同じようにクッキーを貰って嬉しそうだった。


「…ねぇ、すみれ今日家に寄っても良い?」
『いいよー夕飯食べてけば?』


普段後輩が居る前ではこんな風に言わないレムレスだが珍しく弱っているように見えた。……かつて彼がお菓子断ちをした様に。


「えっ、すみれとレムレスは付き合ってるのかい!?」
『当たらず遠からずってとこかな?付き合ってはいないんだよね』
「だって今…」
『家、近所だからさ』
「クルーク、もう回りも暗くなってきたから帰ろうか!」


レムレスがそう言って……でも…、と言っていたクルークを半ば強制的に家へ送った。


『レムレス…大丈夫?』


クルークを送って様子がいつもと違うレムレスに大丈夫かと聞いたのだが、その答えは帰って来なくて私を包む暖かさで何をされたのか気づいた。


「ダメすみれが、足りない」
『全く…いきなり抱き締めないでよ』
「驚きも拒絶もしないでしょ、僕の好きなすみれなら」


好き、大好きなんて言葉と抱き締められては断る訳にもいかない。
抱き締め返してこの大きな子供のレムレスくんをどうしようかと思案していたのだけど私を解放したレムレスはいつもの顔だった。


『、とりあえずご飯食べに帰ろ』
「うん、甘いのが良いなぁお砂糖いっぱい入れてね?」
『駄目でしょ。焦げる』





(とりあえず、答えは)
(ディナーの後で教えてあげるよ)
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