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□青い夕陽
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『俺さ、結婚するんだ』
保育園や小学校も中学、高校
部活までずっと一緒で
成人してからもプロサッカーの世界で同じ世界を見て、ゴールを任せた幼なじみが随分と真面目な顔をして云った
『え、』
信じられずに声を漏らした風丸に目の前の円堂が「夏未と」と付け足した
試合中の様に真剣そのものの表情をしている円堂にはふざけた様子など微塵も感じられない
雷門と円堂が、結婚
夫婦、に
『そ、そう、なのか』
『風丸には一番に伝えておきたくてさ』
『…っや、やったな円堂!おめでとう、まさかあのサッカー一筋の円堂が一番早く結婚するなんて思いもしなかったよ』
『ああ、ありがとう!風丸ならそう言うかと思った』
にかっと変わらず笑った円堂に
風丸はここ最近、昔と違いかなり鋭くなった円堂に感付かれない程度に俯いて心とは裏腹の祝いの言葉を吐いた
声が震えていないかと不安になる
そもそも、同性同士でチームメイト
分かっていたはずじゃないか
こんな同性の幼なじみに抱くべきではない感情なんて叶うはずもない、俺が円堂に一番に駆け寄れて隣に居られるのはフィールド上でだけ
いつか円堂もいい女性と結婚して子供が出来て、子孫反映に繋げていくのだろうと
その時、隣に居られなくとも
せめて見守っていられたらと思っていた
『それでさ俺、日本に戻って雷門の監督をやる事になったんだ』
それすらも叶わないのか
『監督か…円堂もおじいさん…大介さんと同じ道を歩むんだな』
『この後じいちゃんにも報告しにいくんだ』
『そうか、俺からも大介さんに宜しく頼むよ』
『ああ、伝えておく』
円堂を太陽に例えるなら
俺は月だ
決して交わる事はない
同じ空に並ぶ事はない
『…幸せになれよ、円堂』
『おう!』
風丸は目頭が熱くなるのを感じながら沈み始めていた太陽を眺める
年甲斐もなく飲み込んだ透明な涙は髪の色が混じり青く見えた
(憎いぐらいに綺麗)