Dream

□ある日の透明
1ページ/1ページ




今まで塵ほども信じていなかったオカルトやホラー


そんな俺が突然、所謂、見えるようになった


それが分かったのは
ある日の昼休みだった









『源田、屋上行こうぜ』

『悪い佐久間、少し届け物があるんだ。先に屋上行っててくれ』


帝国は知る人ぞ知る、お坊ちゃん校

殆どの生徒がカフェで昼食をとる為に昼間はカフェが混雑していた


一方の俺と源田はきっちり弁当持参派で、静かな屋上で食べる事が日課だった



今日も変わらず源田を屋上に誘うと源田は、先に行っていてくれと何やら教材が詰め込まれた段ボールを持ち上げて見せる



『なんだまた押し付けられたのか?相変わらず人が良いよなお前…』

『まあ、そう言うなよ…ああ、先に食べていて構わないからな』


どうせ人柄の良い源田の事だ
誰かに日直の仕事でも押し付けられたのだろう、そう言えばやはり当たりらしく源田は苦笑して教室から出ていった


『…行くか、』

此処で一人で待つのも意味は無いだろう、源田が言った通りに弁当を片手に屋上へと足を踏み出した





威圧感を携えた鉄の分厚い扉を開く、そうすると視覚に入る空の青、室内では分からない外の解放間、髪を少し揺らした風

一気に五感が刺激される感覚
帝国の様に何処までも歪みない空間にずっと居ると時たま息が詰まる

学校の中であり外である屋上は
晴れた日には良い息抜きだ




そう一つ息を吐いて
普段通りにまだ新しいベンチへ座った



『……?』


同時に屋上の端に人影が映る



思わずぽかんと少し口を開け首を傾げた。その後ろ姿は長い髪や細身な所からして少女だろう、たがその少女は帝国の制服ではなかった

転校生か?他校の生徒がこのセキュリティに万全を期す帝国に居るのだからそれが一番有説だ


それがただの他校の制服を着た少女なら、だが



『……何で、透け、てるんだ』


『え…?』



その少女の身体は透けていた
少女の身体を通して向こうの景色が分かる程に

思わず呆然と呟くと、その呟きが聞こえたらしい少女が一つ声を漏らし髪をふわりと揺らして振り返る




『もしかして…私の事…見えるんですか?』




これは不思議そうに目を瞬かせて首を傾げる少女と俺の出会い




(透明少女)





PS.中篇に載せようと思ったのですが力尽きたので此方に、名前変換が無く申し訳ありません

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ