*main スタスカ

□さよなら僕の初恋
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運命。

それは変えることのできないもの




―最初から決まっていたんだ。
名無し先輩と宮地先輩が付き合うって…



色がなかった僕に  色を与えてくれた名無し先輩


でもそれは
所詮僕を1人の後輩として色を与えてくれただけ。
わかっているようで わかっていなかった




宮地先輩といい雰囲気になっていたのは
鈍い弓道部のみんなでも
さすがに分かっていたようだ


僕はそれが嫌で嫌で
楽しそうに笑う先輩の笑顔を
僕に   僕だけに
向けてほしいと思った。



だから僕はいつもいつも先輩達の邪魔をした


割って入って
僕だけを見て?  って。



けど先輩はそれを望んでない
もっと宮地先輩と話したかったって
目で訴えて、困った表情をする



名無し先輩のその気持ちは、
宮地先輩も一緒だってことも知っていた





 あからさまなアプローチ


名無し先輩は
冗談だといって信じてくれない

違うのに、気づいてくれないのは
  名無し先輩だけ……



楽しそうに笑いあう先輩達がうらやましくてしかたなかった




僕がどんなに名無し先輩を求めても
名無し先輩は僕を求めてくれない



僕がどんなに頑張っても
名無し先輩と幸せに想いあう未来はない



強引に奪っても、
大好きな名無し先輩は
幸せにならない


そう、名無し先輩を幸せにできるのは
    宮地先輩だけ



名無し先輩に幸せになってもらうには
いやでも宮地先輩に協力しなくちゃいけない





  いやだ

そんなの  いやだ



けど






先輩を




大好きな大好きな



先輩を



僕は、悲しませたくない
嫌な、思いをさせたくない




   幸せに
       させたい






その日から
僕は先輩への
アプローチをあまりしないようになった


苦しかったけど



振り返れば
楽しそうに宮地先輩と笑いあう姿


それを見れば
しかたないって思えた





宮地先輩、名無し先輩を幸せにしてください

僕にできなかったこと

宮地先輩は

できるんだから……






そう
これでよかったんだ


これで


後ろ髪ひかれる思いもありながら



こうするしかなかった





自分に言い聞かせた





先輩の笑顔
そのまぶしい笑顔が
僕に向けられたものだったらと


何度
願ったことだろう











名無し先輩



大好きです


今も昔も













――これからも



(僕の初恋は
 運命によって
  引き裂かれました)

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