*main うたプリ

□愛しきキミをSweep Away
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 突然与えられた先輩からのキス


そして奪われた私のファーストキス


「…好きだよ。君が好きだよ春歌ちゃん」


――私は今日、寿先輩にキスされました。




 私は、美風先輩にマスターコースでデビューするために毎日レッスンしてもらってる


美風先輩はちょっと厳しいけど、
ほんとはとっても優しい大好きな先輩
 


 先輩の秘密を知り最近は最初のころより
すっごく楽しくレッスンやお話をしてる



 美風先輩の秘密を知ってから、
同室のほうがレッスンもしやすいし
秘密をばらすこともないだろう、
ということで
今は同じ部屋でお世話になってる




 寿先輩は仕事先や廊下でよく会う


楽しくお話したり、二人とも暇なときは
一緒にお出かけしたりもする


いろんなところに連れていってもらったり
パーティーなどにも誘ってもらったりする


なんだか悪いなと思っていたけど
それはかわいがってもらえている証拠だから
喜ばしいことだと
音也くんも言っていた


 いつでも明るくて優しくて
とってもおもしろい大好きな先輩



  どっちの先輩も大好きで尊敬してる


  毎日先輩達と話せるのが楽しみで
 こんな日々がずっと続けばいいなって
   そう思ってた


――――そして





 いつも通りの朝、いつも通りの昼

  今日も通りに1日が終わる
     そう思ってた


けど、その日の夜


寿先輩に 話したいことがあるから外に来てほしいと電話がきた


いつもの寿先輩とは違った声のトーンだった


 もしかして仕事のことで悩み事でもあるのかなと心配になった



なんといっても美風先輩から許可を得るのは
        大変だった


「なんで、夜に会いに行く必要があるの?」


『せっかく寿先輩がお誘いしてくださったので…』


  …それに、先輩が心配だし


美風先輩はイラついている反面、
呆れているようだった。


「危ないでしょ、自分の立場分かってる?
 何されるかなんて分からないでしょ」


『…!寿先輩はいつだってお優しい方です
 それに、私なんかに手なんてだしません』


つい熱くなってしまった


「それは君がそう思ってるだけでしょ。
 ボクは君を心配して言ってるんだよ」


わたしを、心配…?


『え…?』



「ボクは君がレイジに何かされるんじゃないかって心配なだけ」



     「じゃあ」


 いきなり腕をつかまれる

考える暇もなくドンッと壁に押された


 えっ…!?


「もしいきなりこんなことされたら
 君は抵抗できる?」



何も言えない
美風先輩のいっている通りだった


何をされるかなんて
される方の人間には分からない


『ごめん、なさい
 でき…ない……です』


「はあ…もういいよ
そんな顔されたらするにもできないよ。
でも、自分の身は自分で守る。
無理なときは遠慮なく人を頼る。いい?」


ちょっと照れながらも

美風先輩は優しく
夜の外出を許可してくださった



『はいっ。ありがとうございます!
 気を付けます。
 要件が終わりましたらすぐに戻ります!』


嬉しくてつい笑顔で答えてしまった


「当たり前だよ」


と、微笑みながら返してくれた



心配して外出を反対してくださっていたから
 それがちょっと嬉しかった


 あ、もうそろそろ行かないとっ


思い出したように
   その場をあとにした





外に行くと、もう寿先輩が待っていた


『寿先輩、遅れてすいません!』


小走りで向かった


「大丈夫だよ、さっき来たばっかりだから」


ニコッといつもの明るい笑顔を見せてくれた

でもいつもよりちょっと元気がない気がする



走ってきて乱れた髪を
寿先輩が優しい手つきでなでながら
直してくれる



『よかった…
 ありがとうございますっ』


そんな1つの動作に幸せを感じ、
寿先輩に満面の笑みを見せる



寿先輩の瞳がよりいっそう大きくなる


「…! ほんとに…もう、春歌ちゃんはっ…」


 いきなり腕をひかれて


『え…!?』


 ぎゅっと抱きしめられた
だんだん抱きしめる力が強くなる



『あのっ…こと、ぶき せん、ぱいっ』


 動揺しすぎて自分でも言ってることが
      わからない
わかることは寿先輩に抱きしめられていること


そして
美風先輩の言うとおりだったこと



「…かわいすぎて、かわいすぎて、もう…我慢できないよ。春歌」



耳にあたるかすかな息にドキドキする
    どうしよう


『あのっ』
「ごめんね?もうたえられないっ」



…!?
き、す……!?


『せんぱっ……んっ…!』

「ん…。春歌っ、……ん」


苦しい、思考回路が回らない


『ん、こ…とぶ、き…せんぱいっ…ふ、ぁ』

やっと解放された

いろんな気持ちが入り混じる



「…好きだよ。君が好きだよ春歌ちゃん」

 え…?



  そして現在に至る





『あのっ、先輩、私っ』

寿先輩をそういうふうに見てなかった
大好きだけど先輩を敬愛してた


だから、今動揺してるときに勝手な返事はできない


「春歌ちゃんは、僕のこと…嫌い?」


『いえっ、そんなことは決してないです。だけど先輩のことをそうい


「ちょっと。
ボクの後輩に手ださないでもらえる?」



……!
『美風先輩!』

「もう、アイアイはほんとにタイミングがいんだから」


「まるで…ずっと僕たちの後をつけてたみたいだよ」


寿先輩がいつもとありえないぐらいの口調と目つきで美風先輩を睨む


『美風先輩はそのようなことをする方じゃないです』


悪い空気をとっさにフォローする


「そうだよ。ボクは春歌が心配できただけさ。
 案の定。ひどくレイジに絡まれていたようだ けどね」


「もう、人聞きが悪いなあ。
 僕は春歌ちゃんと要件を済ませていただけだよ」


要件って告白のことだったんだ


自分の胸に手を当てると
まだドキドキいっていた


「じゃあ、必要以上に春歌に絡まないでもらえる?」


美風先輩がさらに近づいてくる
なんだろう…?


えぇ!?


いきなり抱きしめられた


「春歌はボクのものだから」

寿先輩にしれっと言い放つ


「ね?そうでしょ?」
目線を合わせられる

『えっ、あの』


突然のことで困惑する
私、からかわれてるだけなのかなっ


「ねえ、返事は?」

「アイアイってば、そんなにいじめちゃかわいそうだよ
 それに…春歌は僕のだよ」


美風先輩がムスッとなる



「レイジには聞いてない。
ああ、こういうのは段階があるんだっけ。」


美風先輩が私に向き直り、肩をつかまれる



「春歌。好き、だよ」


急に告げられた言葉
寿先輩の次は…美風先輩……?


頭の整理も心の準備もできていない


寿先輩同様、私は美風先輩を
尊敬の目でしかみてなかった


けど、そんなこと言われたら
さすがに意識してしまう




「春歌、僕は君がずっと好きだったんだ。
君をずっと見ていたよ。
君が僕へ抱いている思いは、先輩として、年上としての敬いなんだって分かってる。
だから
僕をちゃんと1人の男として見てほしいんだ
僕のほうが君を幸せにできる。
僕にはその自信があるよ」



ぎゅっと、寿先輩が両手で私の片手を包む



「ボクの秘密を知ってからも、君は今まで通りにボクに接してくれた。
こんな感情はじめてなんだ。
忘れようとしても、誤魔化そうとしても、
どうしても無理だった。
君も知っての通り
ボクはある意味で普通の人間じゃない。
それでもボクは春歌と
ずっと…一緒にいたいんだ」



もう片方の手を美風先輩がやや強めに握る




二人一度にじっと見つめられる


両手も強く握られてる


もう 逃げられない



―――震えるくらい
     君を求めてる

 今すぐに奪いたい




さあ、

君は


どっちを





選ぶの…?





私を見つめる大好きな大好きな先輩たちが



自信ありげに





ニッコリと笑った

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